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宇宙のグーグル地図の生みの親 ガン博士に京都賞

独自アイデアの広域観測で宇宙史解明に革命をもたらした

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 この日米共同研究計画に対して、1992年2月にアルフレッド・スローン財団からの援助が決定し、「スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)」と命名されて2000年4月から本観測が始まった。その後約5年毎に研究の主目的が更新され、第一期から第四期へと発展しながら、ドイツ、韓国、中国、イギリスなど世界中の25研究機関が参加する本格的な国際共同研究として継続している。

拡大米アパッチポイント天文台にあるSDSSの専用望遠鏡
 SDSSは、米国ニューメキシコ州のアパッチポイント天文台にある口径2.5メートルの専用望遠鏡を用いる。この望遠鏡は天空上で直径3度の円、言い換えれば約7平方度の面積に対応する広い領域を一度に撮影できる。

 観測方式は二つ。一つは通常の写真撮影に対応する撮像観測である。観測方法は特殊で、空の上の幅3度の帯のような細長い領域を5つの異なる波長( フィルター)で同時に撮影する。一つの帯を撮影し終えると、となりの帯の撮影に移る。これにより、まず約1億個の銀河と恒星、クエーサーの2次元地図が完成した。

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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし) 東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に、『人生一般二相対論』(東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『この空のかなた』(亜紀書房)、『情けは宇宙のためならず』(毎日新聞社)、『不自然な宇宙』(講談社ブルーバックス)、『宇宙は数式でできている』(朝日新聞出版)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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