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「準結晶」の存在を決定づけた蔡安邦先生が急逝

台湾から日本に来て100種類近くの準結晶を発見、世界の研究を先導した

木村 薫 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻教授

 そこに2度目の衝撃が訪れました。1987年、東北大学金属材料研究所の大学院生だった蔡安邦先生が、アルミニウムと銅と鉄という、ごくありふれた3種類の金属の合金で、熱力学的に安定な準結晶を発見したと報告したのです。

 この発見は、準結晶の存在を決定付けるものとなり、私の準結晶研究に対する周囲の見方も一変しました。準結晶は金属でありながら異常に高い電気抵抗率を持つことを報告していたのですが、それまでは信じて貰えない状況が続いていました。1994年に

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筆者

木村 薫

木村 薫(きむら・かおる) 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻教授

1979年東京大学理学部物理学科卒、1984年に同博士課程を修了(理学博士)。大学院時代に所属の二宮敏行先生と仙場浩一氏が、ペンローズ・パターンを研究。1984年から東京大学物性研究所の竹内伸先生の研究室の助手に着任直後に準結晶が発見され、幸運にもすぐに研究開始。1989年に同大学工学部材料学科の井野博満先生の講師、助教授を経て、1999年から現職。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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