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ゲノム編集食品を自発的・積極的に表示しよう

特定のゲノム編集食品は区別できるし、検証可能

小島正美 食・健康ジャーナリスト

拡大ゲノム編集で作られたイネ=2017年10月、茨城県つくば市の農研機構、三島伸一撮影
 遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集技術で生まれた食品の表示をどうするかが大きな関心を集めている。消費者庁は6月下旬、「表示の義務化は困難」との見方を示した。従来の品種改良で生まれた食品との違いを科学的に検証できないというのが理由だ。各新聞もそのように報じている。本当にそうだろうか。実は特定のゲノム編集食品に絞れば、検証可能なケースはある。いったいどういうことか。「表示と検証」の重大な意味と意義を考えてみた。

特定のゲノム編集食品の検証は可能

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 ゲノム編集は、狙った遺伝子を効率よく変えることができる最新の技術だ。外部から遺伝子を導入する方法もあるが、現在、表示で議論になっているのはもともとある遺伝子を改変したゲノム編集食品である。いうまでもなく、ゲノム編集でも従来の品種改良でも、動物や植物での遺伝子配列の変化は必ず起きている。さらに言えば、遺伝子配列の変化は人の手が加わらない自然界でも常に起きている。

 つまり、ゲノム編集で生じた遺伝子の変異と従来の品種改良で生じた遺伝子の変異を技術的に区別することはできず、「表示を義務づけることは困難」というわけだ。仮に表示を義務づけても、その表示が真実かどうかを確かめる検査法がなければ、違反を取り締まることもできない。そういう意味では確かに表示の義務化は難しい。

 とはいえ、どんな場合でも区別の検証が困難かといえば、そうではない。すでに国内では「血圧の上昇を下げる効果のあるトマト」「肉厚のタイ」「芽が出ても安心なジャガイモ」「おとなしいマグロ」「甘くて長持ちするトマト」などの食品がゲノム編集技術で誕生している。では、これらのゲノム編集食品は、従来の品種改良で生まれたトマトやタイなどと区別できないのだろうか。

 たとえば、10個のトマトの中にゲノム編集トマトが1個混じっている場合、遺伝子を調べてゲノム編集トマトを見つけ出すことはできる。ゲノム編集に特有の遺伝子配列が分かっているからだ。もちろん、この特有の変化が偶然に生じる確率はゼロではないが、それはきわめて低く、実質的にはゼロとみてよい。

 つまり、ゲノム情報がわかっているゲノム編集食品に絞れば、たとえ市場に流通したとしても、「それはゲノム編集食品です」と証明することはできる。

拡大「表示義務化は困難」との国の見解を受けて報道された新聞の記事例

 どの新聞も「ゲノム編集でできた食品は、従来の交配や突然変異などで生まれた食品と区別することは技術的に困難だ」などと説明しているが、これは消費者に誤解を与える説明である。ゲノム編集食品はそれ特有の遺伝子配列をもっており、それを調べれば、ゲノム編集食品を特定できるのだ。

 ただし、これはゲノム情報が公開されていれば、という前提がつく。たとえば、海外の会社がどの遺伝子の機能を壊したかなどのゲノム情報を全く公開しなければ、遺伝子の変異がゲノム編集か突然変異かが分からず、検証は難しい。

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筆者

小島正美

小島正美(こじま・まさみ) 食・健康ジャーナリスト

1951年愛知県生まれ。愛知県立大学卒業。2018年まで毎日新聞記者。現在は「食生活ジャーナリストの会」代表。著書に「メディア・バイアスの正体を明かす」など。

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