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『シード~生命の糧~』に見るタネの多様性喪失 

日本では、タネを自家増殖すると最大罰金1000万円、10年の懲役に

関根健次 ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役社長、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事

 自分が育てた作物からタネを採り、まいたら罰金最大1000万円。

 噓のようなことが、現実になっている。これは、他でもない、この日本のことである。農家がタネを自ら採って、まくことができない。こんなことになっているとは、最近まで知らなかった。

 農家が自ら育てたタネを自家増殖(採種)し、そのタネをまいたら最大10年以下の懲役、1000万円以下の罰金(併科も可、法人なら3億円)が科せられる可能性があるのだ。

 一体なぜ、このような法律(種苗法)があり、その目的は何なのだろうか。

 ドキュメンタリー映画『シード~生命の糧~』を、ユナイテッドピープルの配給により、全国で順次、劇場公開することになった。6月29日(土)のシアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)での封切りを前に、改めて種子について考えた。

©Collective Eye Films 映画『シード~生命の糧~』より拡大©Collective Eye Films 映画『シード~生命の糧~』より

タネの自家増殖は原則禁止

 筆者は、菜園で普段からタネの採種をして、翌年まくことを当たり前のようにやっているので、このような法律があることを知り、大変驚いた。

 調べてみると、在来種や固定種の自家採種は可能としているものの、ここ数年で農家が自家増殖出来ない品目が急激に増えており、タネは種苗会社から買う以外の選択肢がなくなってきている。

 具体的には2016年まで農家が自家採種できない品種は82品目に過ぎなかったが、現在は356種に拡大した。「すいか」「メロン」「だいこん」「トマト」「なす」などの自家増殖は、種苗法施行規則第16条により制限されている。

 わずか3年で禁止品目が4倍以上増えた。農水省は、今後も禁止品目も増やしていくとしており、農家のタネの自家採種(増殖)が原則禁止になりつつある。なぜ、このようなことが起きているのだろうか?

目的は植物育成権者の利益を守ること

 農水省の資料「農業者の自家増殖に育成者権を及ぼす植物種類の追加について」(2017年12月15日)からは、種苗法改正の理由として、欧州連合(EU)などの主要先進国や、植物の新品種に関する国際条約(UPOV条約)に足並みをそろえようという目的がうかがえる。

「登録品種の自家増殖に育成権者の効力が及ぶ植物について」農林水産省食糧産業局拡大「登録品種の自家増殖に育成権者の効力が及ぶ植物について」農林水産省食糧産業局
「農業者の自家増殖に育成者権を及ぼす植物種類の追加について」(2017年12月15日、農水省)拡大「農業者の自家増殖に育成者権を及ぼす植物種類の追加について」(2017年12月15日、農水省)

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筆者

関根健次

関根健次(せきね・けんじ) ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役社長、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事

1976年生まれ。ベロイト大学卒。2002年にユナイテッドピープルを創業し、 09年から映画事業を開始。11年からは国際平和映像祭(UFPFF)も 開催している。2016年から1年、平和国家コスタリカに暮らした。

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