日本では、タネを自家増殖すると最大罰金1000万円、10年の懲役に
2019年06月28日
自分が育てた作物からタネを採り、まいたら罰金最大1000万円。
噓のようなことが、現実になっている。これは、他でもない、この日本のことである。農家がタネを自ら採って、まくことができない。こんなことになっているとは、最近まで知らなかった。
農家が自ら育てたタネを自家増殖(採種)し、そのタネをまいたら最大10年以下の懲役、1000万円以下の罰金(併科も可、法人なら3億円)が科せられる可能性があるのだ。
一体なぜ、このような法律(種苗法)があり、その目的は何なのだろうか。
ドキュメンタリー映画『シード~生命の糧~』を、ユナイテッドピープルの配給により、全国で順次、劇場公開することになった。6月29日(土)のシアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)での封切りを前に、改めて種子について考えた。
筆者は、菜園で普段からタネの採種をして、翌年まくことを当たり前のようにやっているので、このような法律があることを知り、大変驚いた。
調べてみると、在来種や固定種の自家採種は可能としているものの、ここ数年で農家が自家増殖出来ない品目が急激に増えており、タネは種苗会社から買う以外の選択肢がなくなってきている。
具体的には2016年まで農家が自家採種できない品種は82品目に過ぎなかったが、現在は356種に拡大した。「すいか」「メロン」「だいこん」「トマト」「なす」などの自家増殖は、種苗法施行規則第16条により制限されている。
わずか3年で禁止品目が4倍以上増えた。農水省は、今後も禁止品目も増やしていくとしており、農家のタネの自家採種(増殖)が原則禁止になりつつある。なぜ、このようなことが起きているのだろうか?
農水省の資料「農業者の自家増殖に育成者権を及ぼす植物種類の追加について」(2017年12月15日)からは、種苗法改正の理由として、欧州連合(EU)などの主要先進国や、植物の新品種に関する国際条約(UPOV条約)に足並みをそろえようという目的がうかがえる。
もう一つの理由が、
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