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原発ゼロ・エネルギー転換戦略を発表!

脱原発、脱温暖化は既存技術で十分可能。しかも日本経済の再生にもつながる

明日香壽川 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

 6月25日、私も関わる「未来のためのエネルギー転換研究グループ」は、日本における脱原発、脱温暖化をめざすために必要な2030年および2050年のエネルギー・ミックス・シナリオおよび具体的な制度改革に関するリポート『原発ゼロ・エネルギー転換戦略:日本経済再生のためのエネルギー民主主義の確立へ』を発表した。

原発ゼロ・エネルギー転換宣言

原発ゼロ・エネルギー転換戦略拡大原発ゼロ・エネルギー転換戦略

 内容(全48ページ)は、本戦略にしたがった目標設定や制度改革があれば、脱原発、脱温暖化は既存の技術で十分可能であり、かつ日本経済の再生にもつながることを示している。下記は、サマリーとも言える「原発ゼロ・エネルギー転換宣言」だ。

 1.原発・化石燃料依存が続けば日本経済は沈没!

 原発は、最も発電コストが高く、最もリスクが大きく、廃棄物処理の目途は全く立っていない。そのような未熟な発電技術に頼った日本企業は、多額の損失を抱え、経営困難に陥っている。交通分野でも、電気化など大きな変化が起きているが、日本企業は、流れに乗り遅れている。原発・化石燃料依存政策が続けば、日本経済は停滞するのみで、その再生は永遠に不可能になる。

 2.原発ゼロ・エネルギー転換で経済発展と脱温暖化!

 欧州やアジアの国々は、原発ゼロ、再生可能エネルギー100%、石炭火力フェーズ・アウトなどの目標を持っている。それによって、数百万の雇用が生まれ、地域と国全体の両方の経済発展が実現している。世界の多くの国で、再生可能エネルギーは最も安い発電技術だ。2050年再生可能エネルギー100%などをめざせば、日本でも家庭や企業の光熱費は減り、雇用は増え、地域は潤い、経済は発展し、脱温暖化も実現できる。

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筆者

明日香壽川

明日香壽川(あすか・じゅせん) 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

1959年生まれ。東京大学工学系大学院(学術博士)、INSEAD(経営学修士)。電力中央研究所経済社会研究所研究員、京都大学経済研究所客員助教授などを経て現職。専門は環境エネルギー政策。著書に『脱「原発・温暖化」の経済学』(中央経済社、2018年)『クライメート・ジャスティス:温暖化と国際交渉の政治・経済・哲学』(日本評論社、2015年)、『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます!』(岩波書店、2009年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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