札幌の市街地にまで出没、まずはもっと科学的調査と検討を
2019年08月02日
増えすぎた野生動物への対処法として、「個体数調整」(駆除により生息数をコントロールすること)がある。エゾシカを含むニホンジカは、1970年代は個体数が少なく、保護対象だったが、数が増えたために1998年に道東地域エゾシカ保護管理計画を策定して個体数調整を始めた。この時は、多くの批判が寄せられた。けれども、今では世界遺産地域の知床や屋久島でもシカの個体数調整を行っている。
シカと異なり、クマの被害は人命にかかわり、市街地に出没するだけで子供の登下校やマラソン行事中止などの制約を受ける。札幌市は「事前に、各区のホームページなどからヒグマの出没情報を収集し、出没している場所には近づかないようにしてください」(ヒグマに遭わないために)と記しているが、そのような対応だけで住民は安心できるのだろうか。
現在の管理計画は、人に意図的に近づくまたは農地を荒らす「問題個体」を個体群存続に影響のない範囲で捕殺数に上限を求めて駆除するとしている。
そうではなく、エゾシカと同様に個体数調整に転換するという選択肢を考えるべきではないかというのが筆者の意見である。しかし、これが意外と簡単ではなく、多くの課題がある。
札幌市に出没するヒグマは「積丹・恵庭個体群」であるが、隣接する「天塩・増毛個体群」とともに、環境省により「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている。近年の積丹・恵庭個体群の個体数推定値は
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