恐竜像の刷新はちょうど半世紀前に発表されたデイノニクスから始まった
2019年08月12日
ちょっと古い映画だが、「ジュラシック・パーク」(1993年公開)に、小さいけれども凶暴な恐竜が、猛烈なスピードで駆けてきて人間に跳びかかるシーンがあった。ヴェロキラプトル(あるいはラプトル)と呼ばれていたこの恐竜がとても怖くて、身を固くして見ていた記憶がある。
すばやい動きのモデルになったとされる肉食の獣脚類恐竜がデイノニクスだ。「恐ろしい爪」を意味するその名が、論文として発表されたのが半世紀前の1969年だった。「今年は恐竜像が刷新される契機となった発表から50年の節目にあたる」と話すのは、国立科学博物館標本資料センターの真鍋真コレクションディレクター(近著に「恐竜博士のめまぐるしくも愉快な日常」や「恐竜の魅せ方」など)。東京・上野にある同館では現在「恐竜博2019」(主催・国立科学博物館、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション)が開かれているが、真鍋さんが監修者として今年の開催に力を尽くした最大の理由はそこにあった。
「恐竜博2019」の会場へ入ってまもなくの場所に、デイノニクスの最大の特徴となっているかぎ爪を備えた左足の化石が展示されている。イェール大学ピーボディ自然史博物館が所蔵するデイノニクスのホロタイプ標本(その種を命名する基準となる標本)で、これまでは門外不出の品だったそうだ。
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