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原発の将来をめぐるせめぎあいが始まった

原発の復権には廃炉が進む中での新規建設が必要になってくる

竹内敬二 元朝日新聞編集委員 エネルギー戦略研究所シニアフェロー

 東京電力ホールディングスは7月末、福島第二原発の全4基の廃炉を正式に決めた。2011年に起こった東電福島第一原発事故のあと、国内にある54基の原発のうち21基の廃炉が決まった。またたく間に廃炉が積み重なった感じだが、「40年寿命ルール」などを考えれば、ここまでの廃炉は予想の範囲内ともいえる。住民の廃炉要求が強かった福島県内の10原発が消えたのに加え、他地域にあった古くて小さな原発が整理された結果だからだ。

 原発が今後、さらに縮小されて脱原発に向かうのか、あるいは復活するのか。問題はこれからだ。原発の将来を決める本当のせめぎあいが、今から始まる。鍵は、社会が原発の新規建設を許容するかどうかにかかっている。

「2030年、原発で20~22%の発電」には30基がフル回転?

 廃炉を進める最大の力は福島事故のあとにできた「40年寿命ルール」だ。「運転期間を原則40年とし、原子力規制委が認めれば60年に延長できる」となっている。しかし、運転継続には高額の安全対策工事が必要だ。個々の原発についてお金をかけて残すか、そのまま廃炉にするかの判断が迫られた。

 21基の廃炉で残りは33基になった。その多くは出力も大きく、まだ古くなっていない原発だ。電力会社は再稼働に加えて60年運転の許可も得ようとするだろう。そしてめざすのは、昨年改定の第5次エネルギー基本計画に示された「2030年、原発で20~22%の発電」だ。

 この数字に到達するには30基ほどの原発がフル回転する必要があるが、現在までに再稼働したのは9基で、今の発電割合も5%ほどでしかない。さらに活断層の評価が定まらなかったり、地元自治体との調整がつかなかったりで、再稼働が見通せない原発もかなりある。現実的にみれば、2030年時点での目標達成にはざっと10基分、1000万kW前後の原発が不足するとの見方が強い。

「特重」工事の遅れを大目に見ない規制委

 思わぬ問題も出てきた。「特重(とくじゅう)」である。大規模テロが起きたとき、離れた所からでも原発を制御できるように「特定重大事故等対処施設」(略称:特重)をつくることになった。各原発で1300億~2300億円もかかる大工事で、前例もないことから工事が遅れている。

 電力会社は「工事の遅れを原子力規制委は大目に見てくれる」と思っていたようだが、規制委は「約束の期限が守れなければ運転を止める」と厳しい。このため、

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