アフリカ全土からの俊英に一線の数学者たちがハイレベルの講義
2019年08月26日
「アフリカ数学研究所」(AIMS)というものがある。2003年に、当時の英国ケンブリッジ大学物理学科長Neil Turok教授が仲間に声をかけて立ち上げたと聞いている。これは、数理科学を中核に据えた学術ネットワークで、アフリカ全土から優秀な学生・教員を集めた国際的数理科学教育・研究拠点である。大学院教育、教員研修、研究(数理の基礎研究と、諸分野・産業との連携研究)が3本柱となっている。大変ユニークな取り組みで、世界中の数学者が注目していると言っていい。この学術ネットワークのことを数学者ではない方にも知っていただきたく、筆を執った。
AIMSの活動を様々なルートで耳にするようになったのは、数年前からだ。調べてみると、長年の友人であるケンブリッジ大学時枝正教授も立ち上げにかかわっていることが分かり、詳しく話を聞いた。二つのことで深い感銘を受けた。
第一に、アフリカでは25%未満しかSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の高等教育を受けていないというなか、「アフリカから科学技術の『創造』を生み出したい。そのためにはまずは数学の高等教育である」と考えたという「高い志」である。科学技術を自ら創造するエリート若手人材(ネクスト・アインシュタイン)の育成を目指し、アフリカの最も優秀な学生に対して国際的な教育を開始したのである。
基礎的・伝統的な数学だけでなく、データ科学・計算科学・AI、諸分野・産業との連携教育を高いレベルで行い、これまでに43カ国1737名の卒業生を出している。そのうちの30%が女性であり、また70%がアフリカにとどまりアフリカの社会・経済システムの向上、高等教育・研究機関での人材育成に携わっている。
もう一つは、これを「汎アフリカネットワーク」で行おうとしていることだ。
このことは徹底していて、
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