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再エネ導入可能量に「東電ショック」!

実潮流で考えれば「再生可能エネルギーはもっと入る」 他の電力会社にも広がるか?

竹内敬二 エネルギー戦略研究所シニアフェロー

拡大高圧送電線の鉄塔。フェンスで囲まれている=埼玉県朝霞市、松浦新撮影
 再生可能エネルギー(再エネ)の導入可能量について、東京電力は8月、従来とは異なる送電線の混雑管理法を始めた。新しい方法によると、「送電線が満杯で再エネはもう入らない」と言われていた地域でもかなりの導入が可能であり、莫大な費用での増強が必要とされた送電線工事も不要と分かった。驚くような結果だが、これは、欧州や米国でふつうに行われている「実潮流(実際の電気の流れ)での混雑管理」とほぼ同じであり、欧米のやり方に近づけただけだ。

 この混雑管理法は、今日本で行われている方法よりも明らか合理的であるうえ、「無駄な送電線の増強工事」の回避にも通じる。当然、日本全体で採用すべきだが、今後は不透明だ。東電以外の他の電力会社がどう動くか、そして電力広域的運営推進機関(OCCTO)がどう動くかにかかっている。

「800億~1300億円が必要」がゼロに

 「送電線は満杯なので、再エネ発電所は送電線に接続できない」。この言葉で、いかに多くの再エネ計画が消えただろうか。事業者は「送電線の運用を工夫すれば、もっと入るのではないか」と不満に思いつつも、詳しいデータを持たないのであきらめていた。しかし、事業者の不満は当たっていたといえる。

 東電管内の千葉房総地域には洋上風車を含め、再エネ発電所の構想が約1000万kWもある。しかし、この地域と東京都心を結ぶ基幹送電線「佐京連系線」の容量が不十分で、東京電力パワーグリッド(東電PG、分社化した東電の送配電部門の会社)は、これまで、「送電線が満杯。増強工事には800億~1300億円、期間は9~13年かかる」と説明していた。

 工事費の額も驚異だが、状況の変化が激しい再エネ事業で「10年待つ」というのは考えられないことなので房総地域の再エネ開発は止まっていた。

 ところが、東電PGは新しい方法で送電線の混雑をチェックし、「工事は不要。すぐにでも500万kWほどは導入できることが分かった」と主張をガラリと変えたのである。まさに「東電ショック」である。従来法に基づいて送電線の増強を判断していたら、無駄な800億~1300億円を使うことになっていたということだ。

 8月9日、東電PGが千葉市内で、千葉房総に計画をもつ再エネ事業者らを対象とする説明会を開いた。大盛況だった。

「空きゼロ」というが、99%は余裕がある

拡大説明会で配られた資料。上から三つ目の■に、「空き容量ゼロ」の系統であっても……新規の発電設備の接続ができる、と書かれている
 配られた資料のタイトルは「千葉方面における『試行的な取り組み』の概要」(東電PG)。3ページには、「この『試行的な取り組み』では、『空き容量ゼロ』の系統であっても『系統混雑時は発電抑制されること』に同意いただくことにより、新規の発電設備の接続ができるようになります」とある。

 この文章にはびっくりする。これまでは「空き容量がゼロ」には、「接続できない」の言葉が続いていたのだから。東電はこの方針転換を5月17日に記者発表し、8月9日の業者説明会を経て導入した。希望する事業者とは、11月末までに契約したいとしている。展開の速さに本気が見える。

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筆者

竹内敬二

竹内敬二(たけうち・けいじ) エネルギー戦略研究所シニアフェロー

エネルギー戦略研究所(株)シニアフェロー。元朝日新聞編集委員。科学部記者、ロンドン特派員、論説委員などを務め、環境・原子力・自然エネルギー政策、電力制度などを担当してきた。温暖化の国際交渉、チェルノブイリ原発事故、3・11などを継続的に取材。著書は、電力業界が日本社会を支配するような社会産業構造がなぜ生まれたのか、なぜ福島事故がおきたのかを描いた『電力の社会史 何が東京電力を生んだのか』(朝日選書、2013年)。

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