仕組みの解明で貧血治療薬が実用化 がん治療薬の研究も進む
2019年09月30日
今年のノーベル賞発表が10月7日から始まる。
論座恒例の受賞者予想で私が医学生理学賞を担当するのは今年が3回目だ。
一昨年の記事で「がん免疫治療薬の新しい道を切り開いた」業績が有力と書いた。昨年、この業績で米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン氏と京都大学の本庶佑氏がノーベル医学生理学賞に輝いた。
ノーベル賞の発表文を読むと受賞理由として新たながん治療法の発見を重視し、肺がん患者などに使われているがん治療薬「オプジーボ」の開発につながった本庶氏の貢献を高く評価していた。ノーベル賞の選考では患者の治療に役立つ貢献を重視して受賞者を選んでいることを強く感じた。
さて、今年のノーベル医学生理学賞は誰が受賞するだろうか。
いつ受賞してもおかしくないと評価の高い人たちがひしめいているし、絞り込むのはとても困難だ。
それでも私は大胆に「細胞の低酸素応答の仕組みの発見」で、米国ジョンズホプキンズ大学のグレッグ・セメンザ氏、英国オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ氏、米国ハーバード大学のウィリアム・ケーリン氏が受賞する可能性が高いと予想する。
このような困った事態を防ぐために、細胞で酸素が足りない状態になると「酸素不足です!」という危険信号を出して、赤血球を増やすなどして酸素を供給してもらう仕組みがどこかにあるはずだ。
セメンザ氏は
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