桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人
1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
なぜ日本は環境問題への関心が低いのか、なぜ日本の若者たちは動かないのか
そして本年9月23日からニューヨークで開かれた国連気候行動サミットにおいて、日本政府は排出削減の強化に関するグループの議長役を依頼されたのに辞退した。2015年に示した削減目標では不十分であるとして目標の更なる引き上げを決めた国々が参加する中、目標見直しの議論がほとんど進まない日本が話し合いをリードすることは困難なことが辞退の主因であったと見られている。
今回のサミットは、100年以上ある地球の観測史上でこの5年間が最も暑かったことから危機感を覚えた国連のグテーレス事務総長が緊急に招集したもので、多くの首脳が顔をそろえた。パリ協定からの離脱を宣言した米国トランプ大統領でさえ短時間ながら出席したのに、日本の安倍首相は全く顔を見せなかった。
こうした現状に、世界の若者たちが強い危機感を覚え、大きく声をあげている。中心的存在となっているのがスウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)だ。9月21日に国連本部で初の若者気候サミットが開かれ、前日には世界の150ヶ国以上で四百万人もの若者たちが一斉に抗議デモを行った。ニューヨークでのデモで、トゥンベリさんは「若者は団結している。若者の動きは止められない」と宣言した。サミットでは「われわれを失望させることは決して許さない」と各国の首脳らに迫った。
ところが日本では、抗議デモの参加者は約5千人と少なかった。これはどう見たらよいのだろう。筆者には、若者だけでなく日本社会の問題であるように思える。社会全体が内向きになり、現状追認になり、活力を失い、そして異質なものに不寛容になってきているのではなかろうか。
筆者は、この問題について若い世代がどのように考えているかを知る必要があると考え、沖縄大学の学生と意見交換の場を持った。彼らが表明した考えの一端を以下に紹介する。