朝日地球会議で明らかにされた現実と、とるべき対策
2019年10月29日
「朝日地球会議」は、朝日新聞社が2008年から毎年開いてきた「朝日地球環境フォーラム」を、国連が掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」への道筋を話し合う場と位置づけを変えて2016年から名称変更したイベントだ。今年は10月14日から16日まで開かれた。
私は、これまで国内外のプラスチックごみ問題やプラスチックのリサイクル現場を取材してきたことから、プラスチックごみ問題をテーマとしたセッションの進行役を任された。登壇者に招いたのは、河川工学を専門とする二瓶泰雄・東京理科大学教授と、ごみ拾いアプリを開発したスタートアップ企業「ピリカ」の小嶌不二夫代表だ。いずれも海の専門家ではないが、プラスチック問題の解決に向けたヒントを考える上では欠かせないと考えて依頼した。
しかし、ここ数年で風向きが変わった。世界の会社経営者、政治家、学者が集まる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が2016年に「このままでは2050年までに海のなかのプラスチックが世界中の魚の量を超えてしまう」との試算を公表した。現時点でも世界全体で考えると、1分ごとにごみ収集車1台分のプラスチックごみを海に捨てているのとほぼ同じになる。
海に流れ出したプラスチックは、紫外線や波の力などで細かく砕かれて「マイクロプラスチック」になり、何十~何百年も分解されない。最近では、マイクロプラスチックが、魚や貝だけでなく、海水から作られる塩や、人間の便からも見つかっている。人間の健康に悪い影響があるかどうかはまだ詳しく分かっていないが、プラスチックには有害物質がくっつく性質があることがわかっている。こうして、遠い海の話ではなく、私たちの暮らしに関わる問題だと関心を持つ人が増えてきた。
海のプラスチックごみの大半は陸から来ていると考えられている。中国やインドネシア、フィリピン、ベトナムなど近隣諸国は
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