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沖縄やんばる「イタジイの森」に皆伐の危機

貴重な固有種をはぐくむ樹木を残らず伐採する「環境配慮林業」の現場を訪ねて

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

拡大国頭村宜名真の皆伐現場の沢沿いのイタジイ。谷筋側に傾いている
 この赤字を埋め合わせてかろうじて黒字を保っていられるのは、谷筋に集中して生えている太い木の売却益のおかげである。常識で考えれば、黒字になる太い有用木だけを択伐すれば良いのだが、本土復帰以降の大規模皆伐のせいでやんばるには価値の高い木は殆ど残っていない。そこで採られているのが皆伐のあとの「荒れた山林」を再生するという名目で行われる植林、保育、林道の整備などであり、これは林野庁の補助対象(森林環境保全整備事業)となる。

 現在、沖縄県はこの補助金の財源として一括交付金を投入している。つまり「やんばる型林業」とは、「荒れた山林」の再生に対する補助金を目的としたものであり、これはもはや林業(木材を生産する産業)と呼べる代物ではないのだ。

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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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