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しょせん大学ランキングは一面的、どうぞ冷静に

公平な研究評価とはなにか 公平な研究評価は存在するのか

伊藤隆太郎 朝日新聞記者(西部社会部)

 このTHEのランキングで重視されるのが、論文の「被引用数」だ。つまり自分たちの論文が、ほかの論文からどれだけ重要だと見られ、引用されているかの数が、ランキングに大きく寄与する。大学ランキングは論文重視(なかでも被引用数重視)なのだ。

辞書をつくっても評価なし?

 しかし、これはなかなか不公平な尺度だろう。国立歴史民俗博物館の准教授、後藤真さんは、自然科学(理系)と人文・社会科学(文系)をこうした同一線上で評価する問題点を指摘する。「万能な指標は存在しない」と後藤さん。このほど大学評価に関するセミナーで講演し、次のように具体例を挙げた。

拡大「人文系では優秀な研究者ほど、論文を書くより資料集を作っている」と後藤さん
 たとえば人文系の研究者の重要な仕事に「読みにくい古文書などを正確に活字にして、注釈を加える」という難題がある。書き起こされたテキストはその後、多くの研究者が参照する原本となるわけで、任務は重要だ。間違いは許されないし、幅広い知識を備えた熟練の研究者でなければ成し遂げられない。

 だがこうした仕事は、どうやら大学ランキングでは評価されない。論文じゃないし、被引用数にもカウントされないからだ。同様に「辞書を作る」などの作業も極めて大切だが、ランキングに貢献しない。このように「論文で研究活動を評価する」とは、かなり一面的なわけだ。

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筆者

伊藤隆太郎

伊藤隆太郎(いとう・りゅうたろう) 朝日新聞記者(西部社会部)

1964年、北九州市生まれ。1989年、朝日新聞社に入社。筑豊支局、AERA編集部、科学医療部などを経て、2021年から西部社会部。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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