メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

ゴーヤ、ナーベラー、田芋…沖縄の種子を守れるか

独自の生物多様性に配慮した種子条例の制定に向け、沖縄市民が動き出した

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 安倍首相は、2013年の第183回国会における施政方針演説で「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指します」と述べたが、まさにその言に忠実に、日本では昨年4月1日に「主要農作物種子法」(種子法)が廃止され、これまでの国及び地方公共団体などの公的機関により管理されていた農作物種子が、民間の手によって管理されることとなった。

沖縄では種子を考える催しが開かれている拡大沖縄では種子を考える催しが開かれている
 しかし種子は食の基本である。地域の食文化の基盤となっていた地域のタネが姿を消し、グローバル企業の利益になる種子を押し付けられることとなっても良いのだろうか。TPPや日米通商交渉FTAによって、日本は米国などの安い農産物をさらに大量におしつけられようとしている。利潤動機で動く民間企業に任せて、食が国民の健康に及ぼす影響に問題はないのだろうか。

 種子法廃止と同日の昨年4月1日に新潟県、兵庫県、埼玉県が「主要農作物種子条例」を施行し、その後を追って種子条例を制定する県が続出しているのは、国の姿勢に対する懸念の表明以外の何物でもなかろう。

 沖縄でも、いま沖縄県独自の種子条例の制定を求める市民の取り組みが始まっている。以下にその動きについて報告する。

沖縄県には影響がない?

 主要農作物種子法第2条第1項は、「この法律で『主要農作物』とは、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆をいう」としている。沖縄で農家が耕作している作物は圧倒的にサトウキビであり、このため、「種子法の廃止は沖縄県には影響がない」という声も聞こえてくる。しかし、種子法の廃止とそのあとに続こうとしている種苗法の改悪あるいは廃止は、沖縄を含む日本の消費者の食の安全に決定的な影響を及ぼす。

拡大沖縄県産の多様な農産物はこれからも守られるだろうか=2019年7月、那覇市
 日本のスーパーに並ぶ豆腐には「国産大豆使用」と表示されているが、日本の大豆自給率はわずか6%。「国産大豆も使用」であって、主原料は輸入大豆である。沖縄の島豆腐はかつては青ヒグーなどの沖縄在来の大豆で作られていたが、いまやその原料は輸入大豆である。

 トランプ大統領の言いなりになって、米国から大豆の大量輸入がなされるならば、島豆腐の原料はモンサントが販売している遺伝子組み換え種子から作られた大豆となるだろう。これらの大豆には ・・・ログインして読む
(残り:約1905文字/本文:約2812文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

桜井国俊の記事

もっと見る