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日本人にとって必要な英語能力とは何か?

大学までは日本語で知識の習得を、その後に完璧さを求めない「いい加減な」会話力を

廣畑貴文 英国ヨーク大学教授

拡大shutterstock.com
 海外で大学・大学院教育の話になると、日本では母国語(日本語)で行われていることに驚かれることが多い。欧米では英語圏である英・米両国は当然として、そのほか独・仏・露など数えるほどしか母国語で高等教育が可能な国が存在しない。それ以外の国々では英米の著名な教科書をそのまま使い、英語で講義・試験がなされることがほとんどである。アジアでも中国を除けば英語中心の教育であり、インドなどでは英語圏の教科書が特別に安く手に入ることもあるそうだ。このような環境下では当然日本よりも英語の能力、特に外部英語試験の点数などが高くなる。

 昨今の日本では、国際化社会における日本の地位向上のために英語力向上が喫緊の課題であるという議論がかまびすしい。しかしながら、個人的には現在議論されているような英語教育の低年齢化や外部英語試験導入などは不要であると考えており、以下にその理由を述べていきたい。

TOEFLの点数が世界145位の理由

拡大2017年のTOEFL結果データ集から
https://www.ets.org/s/toefl/pdf/94227_unlweb.pdf
 大学院入学や卒業資格にも幅広く用いられている米国のETS (Educational Testing Service)主催のTOEFL(Test of English as a Foreign Language)においては、日本の総合得点は120点満点中71点(2017年)であり、101点で世界第1位のアイルランド、100点で同2位のオーストラリアとオランダから大きく遅れて、145位である。アジア諸国の中でも97点のシンガポール、94点のインド、92点のパキスタン、91点のマレーシアなど29カ国中26位であり、一見すると英語教育に問題があるように思われる。

 しかしながら、

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筆者

廣畑貴文

廣畑貴文(ひろはた・あつふみ) 英国ヨーク大学教授

1995年に慶應義塾大学理工学部物理学科を卒業し、1997年に同大学院修士課程を修了後渡英。2001年にケンブリッジ大学物理学科博士課程を修了し、ポスドク研究員に。2002年から米国マサチューセッツ工科大学フランシスビッター磁性研究所に移り、2003年から東北大学工学部材料物性学科にてクレスト研究員、2005年から理化学研究所フロンティア研究システムにて研究員を務めた後、2007年にヨーク大学電子工学科講師、2011年准教授を経て2014年から現職。