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だれが医療費削減を邪魔しているか

「効果のない薬」と「無駄な手術」の根絶こそ、正しい改革の道

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 また、「国策」でもある「再生医療」も、不十分な臨床試験だけで早期承認されて市場に出てしまい、海外から痛烈に批判されている。これにも、一回1500万円もの医療費を患者と国民に支払わせつづけている(『日本の再生医療「早期承認」に世界から批判』『1000万円超、高額治療薬の「費用対効果」問題』『承認された「自家培養軟骨」は、ひざ関節に有効か』)。背景には、製薬メーカーの営利至上主義、厚労省医薬品医療機器総合機構(PMDA)の不透明な審査など、患者や国民を無視した現状が存在する。優先すべき改革課題は、たくさんあるのだ。

公共工事と外科手術の共通点

 さらに手術をめぐる問題がある。手術治療には、PMDAのような公式の承認審査システムが存在しない。薬物治療の承認過程では定番である「プラセボ対照無作為二重盲検比較試験」の手順が、手術治療においては困難だ。軽症例には保存療法をして、重症例には手術するのが治療の基本だから、比較対照する患者の特性を同じにそろえる必要がある比較試験の方法には、確かに倫理的な問題がある。プラセボ対照はもっと困難で、つまりは偽手術をするということになるが、よもや実際に皮膚を切って治療のアプローチだけ見せて肝心の手術はしないで閉創するなど、ただの傷害犯罪である。

拡大無駄な薬や治療は、患者は大きな損害を強いる xmee/shutterstock.com
 しかし解決法がないわけではない。最近は臨床統計学の進歩によって、手術治療においてもランダム化臨床試験としての評価が可能となってきており、その必要性が学術的エビデンスとして認められだしている。その結果、今まで金科玉条のように信じられてきた「手術の必要性」が否定された例も少なくないのだ。
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筆者

川口浩

川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。

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