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社会は変えられる。可能性を信じて闘い続けよう

映画「気候戦士」監督と千葉商科大学長との対話

関根健次 ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役社長、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事

 気候変動は、日本でも、もはやひとごとではない段階である。今年相次いだ猛烈な台風がもたらした甚大な被害は、気候変動というより、気候危機というべき状況に陥っていることを示すかのようだった。

 気候変動を阻止するために世界中で若者たちが立ち上がっており、なかでもグレタ・トゥンベリさんが有名だ。彼女がたった一人で始めた「未来のための金曜日」は世界中に広がり、今年9月20日に行われたグローバル気候マーチには全世界で760万人が参加したという。筆者も参加したが、高校生などの若者や、外国人留学生などが数多く参加しており、まさにグローバルなデモだった。

 先月末、このように気候変動を阻止するために立ち上がった若者や、再生可能エネルギー事業家や政治家など、様々な分野の気候活動家の奮闘を追ったドキュメンタリー映画『気候戦士 ~クライメート・ウォーリアーズ~』が、弊社ユナイテッドピープルの配給で劇場公開されている。

映画『気候戦士 ~クライメート・ウォーリアーズ~』映画『気候戦士 ~クライメート・ウォーリアーズ~』

 本作のカール-A・フェヒナー監督が2019年11月に来日した際のインタビューは、すでに論座「グレタの前に数百万人の『気候戦士』がいた」でも紹介されている。来日の際、日本初「自然エネルギー100%大学」の千葉商科大学であった特別試写会で行われたフェヒナー監督の講演と、原科幸彦・千葉商科大学学長を交えた議論の様子をお届けする。

監督プロフィル:
カール-A・フェヒナー(Carl-A.Fechner)
 フェヒナー・メディア代表として25年以上、持続可能社会をテーマにしたドキュメンタリー制作やキャンペーンを手がける。数多くの国際映画賞を受賞している。50以上のTVドキュメンタリーの制作後、2010年にドキュメンタリー映画『第4の革命』を初監督。本作はその年にドイツで最も見られた映画となる。16年には『POEWR TO CHANGE』を制作、18年に制作された『気候戦士』は第3作目となる。

フェヒナー監督の講演

講演するカール-A・フェヒナー監督講演するカール-A・フェヒナー監督
 この映画はすでに9カ国で上映されており、日本が10カ国目の上映です。この映画は、招待状のようなものです。活動を始める前には誰しも行動することを決断します。決断する前に、私たちは何かを感じる必要があります。この映画は皆さんに感じ、決断し、行動するきっかけを作るためのプレゼントです。あなたも「気候戦士」になるかもしれません。

 私はこの30年間、社会課題をテーマとしたテレビ番組や映画を制作し、メッセージを届け続けてきました。よく質問されることは、どうしたら本当の変化を生み出すことができるのかということです。まず、最も大切なことは、世界の現実を知り、心で感じることだと答えています。感じることは大切なことです。

 気候変動は起きていて、気候危機に直面しており、すでに何百万人が死に直面していることを私たちはすでに知っているのです。何千万人もの環境難民が気候危機により発生していることも。これらの現実を、私たち一人ひとりがどう感じるのかが重要なのです。

 グレタ・トゥンベリさんは、「私はあなたにパニックになってほしい」と言いましたが、私自身はパニックになってほしくはありません。皆さんには、希望を持ってほしいのです。そして、その希望を持ち、未来のために何をするのか、決断してほしいのです。

 私の人生のことをお話しますと、私は平和や正義を守るためには軍人になることが必要だと信じていたため、ドイツ軍に入隊し、110人の部下を率いる指揮官をしていました。しかし、考えを変え、平和のために四つの決断をしました。

 一つ目は、ジャーナリストの道を歩むことでした。今起きている災害や社会課題に対して、ビジョンやアイデアなど、何が可能かを示すことを決めたのです。二つ目は、肉食をやめたことです。三つ目は、

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