沖縄・パラオ・コスタリカ……今こそ観光公害からの決別を目指そう
2020年01月27日
沖縄県の主産業は観光だ。これまで年間の観光客数の目標として1000万人という数字を掲げ、2018年度には999万9千人の実績値があった。さらに航空会社の報告漏れがあったということで、実際はこの数値が1千万人を超えていたことを2019年11月に県は公式発表している。
2019年には首里城が焼失する不幸があったが、観光客数が減ることはなかった。昨年も暦年でみて1千万人を超えると推計されている。このため県は目標を上方修正し、2021年度までに入域観光客総数1200万人を目指すこととなった。
外国人観光客の増加による影響について、県が2019年度にアンケートを実施したところ、県内41自治体のうち宜野湾市や石垣市など12自治体が観光公害などの「トラブルが起きている」と回答した。内訳としては公共交通機関に関する問題がもっとも多く、観光客の急増に交通面での受け入れ態勢が追いついていないことを物語っている。那覇市で生活している筆者も、レンタカーの急増によって年々、交通事情が悪化しているのを実感する。
沖縄はいまこそ立ち止まり、観光産業の振興のあり方を再考する必要がある。さらには「ゴミ出しやトイレ使用のマナーが悪い」「レンタカー事故が多発している」「災害時の避難誘導が多言語化していないなど」など、言葉や社会ルールの違いによるトラブルの幅も広く、住民生活への影響の大きさに各自治体が苦慮している。
こうした問題を考えるため、筆者は沖縄に移住して以来、大洋州の島々からの情報にアンテナを張るようにしている。沖縄は島嶼であり、同じ太平洋に浮かぶ島嶼諸国とは相互に学ぶべきことが多々あると考えるからだ。そうした中、気になる情報がパラオから届いた。
パラオはGDPの50%以上を観光産業が担っている。美しい島々からなり、世界遺産「ロックアイランド」など貴重な観光資源を有しているパラオには、世界中から観光客が訪れ、2016年には年間15万人に達した。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください