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アプリに保険適用いよいよ 治療用ソフトが開く新市場

病院で診察を受けたら、処方はスマホに…って時代がやってくる

伊藤隆太郎 朝日新聞記者(科学医療部)

 病気を治したり体調を回復させたりする医学的な方法には、大きく分けて3種類ある。「手術をする」「薬を飲む」「医療機器を使う」だ。国民健康保険などの公的な医療保険が適用されるのも、ざっとこの三つのどれかにあたる。

 このうち医薬品と医療機器の品質を定めているのが、いわゆる薬機法だ。以前は薬事法と呼ばれていた。正式名を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、2014年の法改正でいまの名前になっている。

 このとき、大きく変わったことがある。「医療機器」についての考え方だ。新たに単体のコンピュータープログラムが対象に加えられた。つまりスマホのアプリにも医療保険が適用される道が開かれたのだ。そして今年、いよいよその第1号が登場する。意欲あふれるベンチャーの技術者や経営者が、先陣争いにしのぎを削ってきた。

診察を受けたら、アプリが処方されて…

 さて、ここで以降の原稿にうっかりと書き間違えをしないよう、注意をひとつ書き留めておこう。本稿で使う用語は「治療用アプリ」だということ。実はこれを「治療アプリ」とすると、ある企業の登録済みの商標になってしまう。

拡大医師で経営者。キュアアップの佐竹晃太氏
 この「Ⓡ」マークがつく商標の持ち主が、株式会社CureApp(キュアアップ)だ。広報担当者が記者会見で深々と頭を下げた。「なにとぞ、ご理解のほどを」。はいはい、気をつけます。

 キュアアップは2014年に創業したばかり。治療用アプリの第1号は、この会社から生まれるとみられている。社長の佐竹晃太さんは、慶応大医学部卒の医師でもある37歳。学生時代はヨット部に所属してセーリングに打ち込んだというスポーツマンだ。開発したニコチン依存症治療用アプリが「今年中には保険適用されるだろう」と、見通しを示した。

 病院でお医者さんから診察を受けたら、スマホのアプリを処方された……。そんな時代はもうすぐだ。これは比喩ではない。キュアアップの治療用アプリは、本当に医師の診察に基づいて処方される仕組みになっている。現状の診療では十分に目が届かない、患者が次回の来院をするまでの「治療空白期」に、患者ごとに個別化された治療ガイダンスをアプリから届けることで、挫折してしまいがちな闘病を支えるという。

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筆者

伊藤隆太郎

伊藤隆太郎(いとう・りゅうたろう) 朝日新聞記者(科学医療部)

1964年、北九州市生まれ。1989年、朝日新聞社に入社。筑豊支局、西部社会部、AERA編集部などを経て、2016年から科学医療部。

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