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軍事に前のめりになっているJAXAの姿勢を問う

武器見本市に出展する宇宙航空研究開発機構、理由を尋ねて返ってきた回答は

小寺隆幸 軍学共同反対連絡会事務局長

防衛装備技術の展示会に「はやぶさ2」の実物大模型

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が幕張メッセで昨秋開かれた「防衛・セキュリティ総合展示会 DEFENCE & SECURITY EQUIPMENT INTERNATIONAL (DSEI) JAPAN 2019」の協賛団体となり、会場に陸域観測技術衛星「だいち2号」を展示した。JAXAは昨年6月に同じく幕張メッセで開催された「防衛装備技術国際会議/展示会 MAST Asia 2019」にも出展している。6月17日に筆者は会場を訪ねたが、子どもたちの宇宙への夢を育んできた「はやぶさ2」の実物大模型が展示されているのを見て愕然とした。そこにいたJAXA職員に聞くと、スペース・デブリ対策としての宇宙状況把握(SSA)システムの解説パネルがメインの展示だが、それだけでは人目を引かないので横に「はやぶさ2」を展示したと語っていた。

拡大MAST Asia 2019でひときわ目を引いた実物大の「はやぶさ2」模型=2019年6月17日、筆者撮影

 DSEIは世界の軍需産業が最新の武器を展示し、各国の軍人らが商談に訪れる武器見本市である。JAXAがなぜこれを協賛したのか。そしてなぜ展示品を出したのか。私たち軍学共同反対連絡会(共同代表池内了、香山リカ、野田隆三郎)は昨年12月、この問題も含め、軍事に前のめりになっている近年のJAXAの姿勢を問う申し入れをし、多岐にわたる質問を送った。それに対する山川宏理事長の回答が1月10日に届いた。この中から、上記の出展に関わる回答を紹介する(質問・回答の全文は連絡会ニュース第40号に掲載、http://no-military-research.jp/ からダウンロードできる)。

明白な事実に目をつぶるJAXA執行部

 私たちは「武器見本市への出展は宇宙航空研究開発機構法のどの項目を根拠に行われたのか」「どのような議論がなされ、意思決定されたのか」「はやぶさ2は軍事と無縁のはずなのになぜ武器見本市で展示したのか」「SSAシステムや陸域観測技術衛星を海外の軍や軍需産業に売り込むのか」といった点を質した。

 回答によれば、出展は機構法第十八条五項(業務に係る成果を普及し、その活用を促進する)に基づく業務として行われた。DSEI主催者から「防災に役立つ宇宙技術」を依頼されたので「だいち2号」を展示し、協賛したという。またMASTでは「当時世間で大きな話題になっていた『はやぶさ2』を展示した」という。そして肝心の「武器見本市に出展したのはなぜか」という問いには「『武器見本市』という解釈についてはコメントする立場にない」と逃げている。さらに、売り込みの意図を持つのかという質問には、「国の安全保障貿易管理制度に基づいた厳格な審査体制を構築・運用しており、『はやぶさ2』『だいち2号』に係る機微技術が不適切な形で利用されることはない」とだけ答えている。

 このように、武器の商談の場であるという明白な事実に目をつぶった回答は欺瞞的である。協賛団体として名を連ね、話題性があるからと巨大な模型まで出すのは、武器見本市成功のために主体的に動いたことに他ならない。そのうえ、

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筆者

小寺隆幸

小寺隆幸(こでら・たかゆき) 軍学共同反対連絡会事務局長

1951年生まれ。東京都公立中学校数学教員、京都橘大学人間発達学部教授を経て、現在明治学院大学国際平和研究所研究員。軍学共同反対連絡会事務局長、原爆の図丸木美術館理事長、チェルノブイリ子ども基金共同代表。著書に「数学で考える環境問題」明治図書.2004年、「兵器と大学」編著.岩波ブックレット.2017年、「主体的対話的に深く学ぶ算数・数学教育」編著.ミネルヴァ書房.2018年。