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原発ゼロと石炭火力ゼロは両立できるのか?

経済や雇用にプラスで、停電、電気代、財源の問題はない

明日香壽川 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

 日本での温暖化対策を進めるためには、政府が設定した今のエネルギー・ミックスの目標数値を変える必要がある。なぜなら、今のエネルギー・ミックスは省エネと再エネを軽視し、石炭を重視しているため、温室効果ガスの排出削減量は極めて小さいからだ。

 温暖化対策を進めるには、省エネや再エネの導入を促進し、石炭火力をフェーズ・アウトさせるようなエネルギー転換が必要となる。しかし、そのような主張に対して、「具体的な対案になっていない」「経済に悪影響」「原発がないと温暖化対策は無理」「単なる精神論」などの反論が必ず出される。

 筆者らは、これらの反論が間違っていることを具体的に示すために、米国などでのグリーン・ニューディールの議論も参考にしながら「原発ゼロ・エネルギー転換戦略(以下、エネルギー転換戦略)」を作成し、多くの人々と共有しつつある。

原発ゼロ・エネルギー転換戦略拡大原発ゼロ・エネルギー転換戦略
 このエネルギー転換戦略では、2030年に原発ゼロ、石炭火力ゼロの下、電力供給における再エネ比率を2030年に40%以上とし、最終エネルギー消費量および電力消費量は2030年に2010年比で30%それぞれ削減する。これによって、エネルギー起源CO2排出は2030年に1990年比で50%削減される。

 筆者らは、このようなシナリオの達成に必要な具体的政策や投資額を詳細に明らかにし、1)投資額をはるかに超える利益が発生する、2)2050年までに数百万人規模の雇用が新たに創出される、3)電気代が下がる、などプラスの経済効果を定量的に明らかにした。

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筆者

明日香壽川

明日香壽川(あすか・じゅせん) 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

1959年生まれ。東京大学工学系大学院(学術博士)、INSEAD(経営学修士)。電力中央研究所経済社会研究所研究員、京都大学経済研究所客員助教授などを経て現職。専門は環境エネルギー政策。著書に『脱「原発・温暖化」の経済学』(中央経済社、2018年)『クライメート・ジャスティス:温暖化と国際交渉の政治・経済・哲学』(日本評論社、2015年)、『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます!』(岩波書店、2009年)など。

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