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安易な業績評価が生む、もう一つの研究不正

「著名研究者」が編集委員・査読者の立場を悪用してやっていたこと

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 その結果、単なる論文数はあまり情報を持たない(乱暴な言い方をすれば、単著の論文1本は共著者100人の論文100本と同じ重みであると解釈することも可能かも知れない)。それに加えて、研究の細分化と高度化によって、狭い意味で同じ研究分野でない限り、どれが優れた論文なのかはおろか、その内容を理解することさえ困難な状態になっている。

拡大研究業績の客観的指標とは何だろうか
 その代わりに重要視されるようになったのがBCである。原著論文が専門誌に掲載される際には、同じ分野の研究者による査読をパスする必要がある。これはピア・レビューと呼ばれており、発表される論文の内容の正しさを担保する重要なシステムである。通常は、編集委員会が決めた同分野の研究者一名が査読者となり、その内容について様々な批判やコメントを著者に返す。人間関係とは無関係に純粋に科学的な立場から厳しい批判ができるように、査読者は通常匿名であるが、査読者が認めれば名前を明かすこともできる。著者と査読者の見解がどうしても一致しない場合には、別の査読者あるいは担当編集委員(通常は専門研究者である)の判断によって掲載の可否が決まる。
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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし) 東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に、『人生一般二相対論』(東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『この空のかなた』(亜紀書房)、『情けは宇宙のためならず』(毎日新聞社)、『不自然な宇宙』(講談社ブルーバックス)などがある。

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