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テレワークを最大限に生かすには:スウェーデンからの提言

正しく使えば、感染予防と仕事効率の向上の両立も可能

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

拡大経済3団体のトップらに、梶山弘志経済産業大臣ら3大臣がテレワークなどの対応を要請した= 2020年2月26日、東京・霞が関、野口陽撮影
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務等のテレワークが話題になっている。2月25日に発表された日本政府の新型コロナ対策の「基本方針」では、「企業に対して発熱等の風邪症状が見られる職員等への休暇取得の勧奨、テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかける」という一項が入り、翌日3大臣が経済団体トップに対応を要請した。テレワークを取り入れる企業も増えている。

 長年スウェーデンで研究者として暮らし、テレワークが当たり前の私にとっては「遅きに失する」というのが正直な感想だ。

流行初期には、他人との接触を極力減らすべき

 新型コロナウイルスは、当初からエボラよりもインフルエンザに近い感染形態が指摘され(論座2020年2月4日『感染症予防措置は「厳しいほど良い」わけではない』)、スウェーデンでは1月末に既に「豚インフルエンザ対策と同等の健康管理を」という注意が流れていた。今でも、「感染力は弱く、ごく普通の空気感染予防で十分である」というメッセージが公的機関により維持されている。

 不特定の誰かが、インフルエンザのような流行性感染症にかかっているような場合、自分が既に感染しているかも知れない可能性まで考慮に入れて、他人との接触は流行初期に極力減らすべきである。となれば、テレワークの推奨は必然で、2月初頭から企業も政府も勤労者に推奨すべきだったのだ。それが半月以上遅れた間にウイルスは全国に散らばってしまった。挨拶時のハグや握手など、欧米や中国に比べて身体接触がはるかに少ないお国柄にもかかわらずだ。

 そもそも、このところ政府が強引に進めてきた「働き方改革」で、テレワークの「普及促進」が項目として入っていたではないか。しかし政府は企業に対して積極的働きかけをしてこなかった。「導入可能」という企業が多くても、それを実際に広めるには政府からの一押しがいるのが日本なのである。それが、今まで推奨されなかった。テレワークを真剣に考えてこなかったのだろう。

「体調が悪くても出勤するのが当たり前」という日本の病理

 ネットが発達する前は文科系の研究者にしか出来なかったテレワークも、今では理工系研究者で可能となっている。もちろん、職種柄、職場に出なければならない場合はあるだろう。たとえば工場で生産にたずさわっている方たちは工場に行かざるをえない。店で接客する方たちも同様だ。だがホワイトカラーの大半は、きちんと工夫すればテレワークは可能だ。実験系やフィールドワーク系の研究者だって、オフィスに座ってする仕事は多いのであり、それは自宅で可能なのだ。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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