正しく使えば、感染予防と仕事効率の向上の両立も可能
2020年03月02日
長年スウェーデンで研究者として暮らし、テレワークが当たり前の私にとっては「遅きに失する」というのが正直な感想だ。
新型コロナウイルスは、当初からエボラよりもインフルエンザに近い感染形態が指摘され(論座2020年2月4日『感染症予防措置は「厳しいほど良い」わけではない』)、スウェーデンでは1月末に既に「豚インフルエンザ対策と同等の健康管理を」という注意が流れていた。今でも、「感染力は弱く、ごく普通の空気感染予防で十分である」というメッセージが公的機関により維持されている。
不特定の誰かが、インフルエンザのような流行性感染症にかかっているような場合、自分が既に感染しているかも知れない可能性まで考慮に入れて、他人との接触は流行初期に極力減らすべきである。となれば、テレワークの推奨は必然で、2月初頭から企業も政府も勤労者に推奨すべきだったのだ。それが半月以上遅れた間にウイルスは全国に散らばってしまった。挨拶時のハグや握手など、欧米や中国に比べて身体接触がはるかに少ないお国柄にもかかわらずだ。
そもそも、このところ政府が強引に進めてきた「働き方改革」で、テレワークの「普及促進」が項目として入っていたではないか。しかし政府は企業に対して積極的働きかけをしてこなかった。「導入可能」という企業が多くても、それを実際に広めるには政府からの一押しがいるのが日本なのである。それが、今まで推奨されなかった。テレワークを真剣に考えてこなかったのだろう。
ネットが発達する前は
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