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店頭にあふれる「無添加」表示に異議あり!

「国民に大きな誤解をうむ」と検討会で議論、消費者庁が規制指針を作成へ

上田要一 一般社団法人日本食品添加物協会専務理事

拡大さまざまな商品に「無添加」の文字がついている
 
 スーパーの店頭に並んでいる食品のパッケージには「無添加」、「無香料」、「合成着色料無添加」、「合成保存料不使用」、「無添加だから安心!」、「お客様の健康を考えて化学調味料を使用していません」といった「無添加」表示、「不使用」表示が多数見られる。

 こうした表示のあり方について、2019年4月から2020年2月まで消費者庁の「食品添加物表示制度に関する検討会」で突っ込んだ議論がなされた。食品添加物は商品の一括表示欄(通常は裏面)に表示することが義務付けられている。私たち日本食品添加物協会は、「食品添加物にかかわる『無添加』表示、『不使用』表示は消費者の誤認を前提とした表示であり、国民に大きな誤解を生み、食品表示制度の信頼を損ねる表示である」と主張してきた。検討会の結論は「消費者の誤認を防止するために規制を強化していくべき」というもので、今後、規制指針の作成に向け消費者庁が検討を進めることになる。

 本稿では、私たち日本食品添加物協会が何を問題視しているかを述べたい。

1.「無添加」表示の意味することが正確に理解されていない

拡大食品添加物表示制度に関する検討会の様子=2019年5月30日、(株)ウェルネスニュースグループ 提供
 2017年に実施された消費者庁の調査により、「○○無添加」と書いてあると、「食品添加物が全く使用されていない」、「食品添加物の使用量が少ない」ととらえる人が多いことが明らかになった。実際にはこの表示は「○○を使っていない」ことを表すだけで、○○以外の食品添加物が使用されている場合も食品添加物の使用量が多い場合もある。

 食品表示法では、「塩分ゼロ」、「糖類無添加」等の表示が、厳しい制約のもとに許されている。食塩や砂糖は、取り過ぎの弊害が指摘されているものの、我々の生活になくてはならない栄養源であることを多くの人が理解している。ある商品に「食塩無添加」と表示されていても、「健康上の理由で塩分の摂取量を抑えたい人のために開発された商品」との認識で受け止められ、大きな誤解は生じない。

 一方、食品添加物は、一生の間、毎日取り続けていても健康影響が出ない量を前提に使用が許可されているので、そもそも取り過ぎの弊害はない。実際、行政、消費者団体、市民団体、そして食品事業者による食品安全向上に向けた仕組み作りが行われてきた結果、半世紀にわたって、食品添加物に起因する健康危害は発生していない。

 したがって、健康増進の視点で考えれば、食品添加物にかかわる「無添加」表示は意味のない表示といえる。

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筆者

上田要一

上田要一(うえだ・よういち) 一般社団法人日本食品添加物協会専務理事

1981年東京大学大学院農学系研究科修士課程修了、同年、味の素株式会社入社。中央研究所に配属、食品の研究開発、品質保証を担当。2011年品質保証部長、2013年から現職。1998年農学博士(東京大学)、東京農業大学非常勤講師。