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米軍基地による有機フッ素化合物(PFAS)汚染の現場

日本の基準値で未来を担う沖縄の子どもたちに安全な飲み水を供給できるのか

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 沖縄で暮らしていると米軍基地がもたらす諸問題とかかわりのない日は一日としてない。辺野古新基地建設に伴う諸問題はその代表で、政府の当初の目算が大狂いし、大浦湾には軟弱地盤があって埋め立て工事の工期・工費がとてつもないものになり、出来上がっても不同沈下で飛行場として使い物になりそうもないことなどが、連日、地元紙で報道されている。

拡大沖縄県内の取水源の汚染が深刻化している
 その他の問題の中で、ここにきて沖縄で特に注目されているのが有機フッ素化合物(PFAS)による飲料水汚染の問題だ。沖縄の未来を担う子どもたちの健康にかかわる問題だからだ。1月下旬に嘉手納基地、普天間基地によってPFAS汚染されたと思われる地域の現場視察を行ったので、今回は嘉手納基地周辺のPFAS汚染とそれが引き起こす北谷浄水場の汚染問題について報告する。

「永遠に残る化学物質」

 PFASは、1940年代以降様々な分野で使われてきており、家庭内では、台所用品(フッ素樹脂製のこげつかない鍋)や防水処理のされたじゅうたん、衣類、家具、靴などがある。産業用にも様々な用途があり、現在、3500から5000種類のPFASが流通していると言われている。沖縄で飲料水を汚染するとして特に問題となっているのが米軍基地で使用される泡消火剤である。

 PFASの中でよく知られているのがPFOSとPFOAで、その有害性のためにそれぞれ2009年、2019年に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」で製造・販売・使用が禁じられた。今は、他の有機フッ素化合物による代替が進んでいるが、問題は、これら有機フッ素化合物が安定な構造を持ち、環境中で分解されにくく、高い蓄積性を有することである。

 PFOS、PFOAで汚染された嘉手納基地、普天間基地の土壌は、今後も長期にわたって汚染物質が残留し、この地域の地下水を汚染しつづけるからである。このためPFASは、「永遠に残る化学物質」(Forever Chemicals)と呼ばれており、除去、浄化などの対応が極めて困難な物質である。

 加えて問題なのが、PFASへの暴露は、乳児低体重、免疫システムへのマイナス影響、がん、甲状腺ホルモンへの影響など、

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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

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