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根拠ない批判が生みだす「医療崩壊」とウイルス拡大

社会的パニックに呼ぶだけで、感染は止まらない 非建設的な情報発信の害悪

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 感染が報告されて既に2カ月も経過しているのに、WHOが積極的な行動を起こしていないのも、中国CDCに頼ってすべてを丸投げしている印象だ。WHOは一刻も早く、自分たちの責任で今後の対策のあり方を打ち出すべきである。

高い死亡率の背景に「医療崩壊」はないか

 そして中国CDCが分析した感染症の中身も気がかりだ。PCR検査で陽性となった4万4672例の年齢分布は、80歳以上が3%、30~79歳が87%、20~29歳が8%、10~19歳が1%、9歳未満が1%である。湖北省の患者が75%を占め、そのうち86%が武漢市と関連がある。軽症が81%、呼吸困難などの重症が14%、呼吸不全や敗血症性ショックなどの重篤・危篤が5%だ。死亡は1023例で、すべてが重篤・危篤例からだとしている。

 死亡率は全体で2.3%となり、重篤・危篤例の中では49.0%に達する。高齢者ほど死亡率が高く、70~79歳で8.0%、80歳以上で14.8%だ。また、基礎疾患がある患者も死亡率が高く、心疾患で10.5%、糖尿病で7.3%、慢性呼吸器疾患で6.3%などとなっている。これらの数字を見ると、必ずしも「たちの悪い風邪」「インフルエンザ程度」などと済ませられないレベルだ。

拡大無観客で開催された東京ガールズコレクション=2020年2月29日、東京都渋谷区、瀬戸口翼撮影

 その背景に「医療崩壊」が隠れている恐れを否定できない。武漢市を含む湖北省で、社会的パニックによって軽症者が病院になだれ込み、地域医療が崩壊したことで感染拡大したことも考えられる。高率で院内感染が起き、全体の死亡率を引き上げたかも知れないのだ。

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筆者

川口浩

川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。

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