政府には正確で平易な情報発信ができる感染症に強いスポークスパーソンが必要だ
2020年03月09日
3月3日、英国のボリス・ジョンソン首相が記者会見を開き、感染拡大に備えた「行動計画」を発表した。
日本の安倍晋三首相の記者会見と大きく違うのは、ジョンソン首相の左右に専門家が並んだことだ。向かって左側にイングランド主席医務官のクリス・ホイッティ氏、右側に政府首席科学顧問のパトリック・バランス氏。両氏ともに医師で、特にホイッティ氏はロンドン大学衛生熱帯医学大学院教授を務めた公衆衛生の専門家だ。記者から学校休校について質問が出ると、ジョンソン首相は「原則として学校を休校にすべきではないと考えているが、学校当局はイングランド公衆衛生局の助言に従うべきだ」と述べ、ホイッティ氏が具体的に答えた。
英国の主席医務官は19世紀のビクトリア女王時代に設けられ、当時流行していたコレラ感染症対策などを担ってきた。今回の新型コロナウイルス感染症に限らず、公衆衛生上の問題について医学的な知見にもとづいて政府に助言してきた。
米国ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス感染症に関する記者会見でも後ろに専門家が控えている。
2月26日にホワイトハウスで開いた記者会見では米国疾病対策センター(CDC)の首席副所長アン・シュケット氏(医師)、新型コロナウイルス感染者で米国初の死亡者が確認されたことを受けた2月29日の記者会見ではCDC所長のロバート・レッドフィールド氏(医師)が大統領の後ろに立った。
記者会見でのトランプ大統領の発言は時には民主党攻撃になり、あまり科学的とは言えなかったが、専門家たちは丁寧でわかりやすい発言を心がけていた。
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