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辺野古の地盤改良に「アセス不要」の政府強弁

軟弱地盤の設計概要変更申請には、アセスのやり直しが必要だ

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 政府が3月いっぱいに提出することを目指していた辺野古新基地建設の設計概要変更の申請が、2020年度にずれ込む見通しになった。軟弱地盤の改良に必要な設計変更には、県知事の承認を得る必要があるが、玉城デニー知事は応じない姿勢だ。

埋め立て工事が進む辺野古沖。右側が軟弱地盤海域=朝日新聞社機から、堀英治撮影
 承認の判断に際して知事が依拠するのは、公有水面埋立法第4条(免許の基準)である。1項2号は「埋立が環境保全及び災害防止につき十分配慮せられたるものなること」としており、知事はこの条件に適合すると認められる場合でなければ承認を与えてはならないとしている。

 今こそ必要なのは、環境アセスメントのやり直しだ。防衛省は積極的にアセスをやり直し、自らが提起しようとしている新たな工法が当初計画と比べて同程度かそれ以下の環境影響しか与えないことを、しっかりと示すべきである。これまでのようなアセス法の欠陥を抜け穴として利用する悪しき態度をあらためるべきだ。

アセスの精神に反する「後出しジャンケン」

 以前に「論座」でも報告したが、辺野古新基地建設に先立って防衛省が実施したアセスは、多くの研究者が「最悪のアセス」と評したものだった。

名護市辺野古沖の土砂投入区域
 日本のアセス制度では、アセスの設計図である「方法書」と、「方法書」に基づき調査・予測・評価した結果をまとめた「準備書」の二つの図書については、関心のある市民が意見を述べることができるとしている。しかし、これらの意見を踏まえつつ取りまとめられる最終の「評価書」については、市民が意見を述べる機会は設けられていない。

 ところが辺野古アセスでは、新基地にオスプレイが配備されることを明らかにしたのは、もはや市民が意見を述べることができない「評価書」の段階であった。実はオスプレイ配備は、1996年のSACO合意で米国側から日本側に示されており、沖縄の市民は米国におけるジュゴン裁判で米国防総省が提出した証拠からそのことを知っていた。

 そこで市民は、「方法書」と「準備書」がオスプレイ配備を前提に作成されていないのは問題であると繰り返し指摘していたのである。ところが防衛省は、ようやく「評価書」段階になってから、オスプレイ配備を明らかにしたのである。明らかにアセス法28条の精神に反する「後出しジャンケン」だった。

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