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パーム油の何が問題なのか?

EUがバイオ燃料用途のパーム油輸入を2030年までに禁止。そのワケは?

関根健次 ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役社長、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事

 パーム油の生産によって森林破壊が進行しているため、欧州連合(EU)は2030年までに、バイオ燃料としてのパーム油の輸入を禁止すると決めた。この決定を受け、世界第1位のパーム油生産国・インドネシアが、EUをWTOに提訴するなど国際問題に発展している。欧州の生態系や気候変動への危機意識の高まりが現れた動きだ。

オーストリアのスーパーでパーム油入りの食品を探す映画『グリーン・ライ ~エコの嘘~』のブーテ監督(左)©e&a film拡大オーストリアのスーパーでパーム油入りの食品を探す映画『グリーン・ライ ~エコの嘘~』のブーテ監督たち(左)©e&a film

 翻って日本では大手旅行大手の株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)が、パーム油を使用したバイオマス発電事業を行うため、宮城県角田市に「H.I.S.角田バイオマスパーク」を建設中で、オフィシャルサイトには2020年春に試運転開始の見込みとある。FoE Japanなどの20の環境団体はHISに対し、パーム油発電所建設事業から撤退を求める署名活動を去年実施し、7月30日に14万8千筆の署名を同社に提出している。環境団体が問題視している点は、以下の点だ。

・パーム油のもととなるアブラヤシの生産地マレーシア、インドネシアでは、広範囲にわたる熱帯林および泥炭地の破壊により、野生生物の生息地が失われ、大量の二酸化炭素が発生する。

・「発電用」にパーム油を大量に燃やすことは、さらなる熱帯林破壊をもたらす。環境破壊型の発電である。

 詳しい説明は、FoE Japanの「何が問題? H.I.S.のパーム油発電 Q&A」をご覧いただきたいが、署名活動を行ったプランテーション・ウォッチの飯沼佐代子さんはこう話す。

 「根本的な問題は、温室効果ガスの排出量が石炭並みに多いことがわかっているにもかかわらず、再生可能エネルギー源として経産省が認めていること、そのため電力消費者が支払っている再生可能エネルギー賦課金の支払い対象になっていることです」

パーム油とは何か

 そもそもパーム油とはどんな油なのか? どこが問題なのだろうか?

 パーム油は植物性油として、マーガリンの原料、チョコレート、ポテトチップス、即席麺など、多様な加工食品に用いられている。植物油脂として書かれるので、一般消費者にその存在がほとんど認知されていない。消費量では菜種油に次ぐ第2位で、大豆油よりも多く使われている。

インドネシア、スマトラ島。アブラヤシ農園拡大のために焼かれた熱帯雨林に立つ『グリーン・ライ ~エコの嘘~』のブーテ監督©e&a film拡大インドネシア、スマトラ島。アブラヤシ農園拡大のために焼かれた熱帯雨林に立つ『グリーン・ライ ~エコの嘘~』のブーテ監督©e&a film

 なぜこれほどまで、パーム油の需要があるのかというと、「原料の単位当たりの平均収量が約6倍で、収穫回数は、約10倍から12倍。パルミチン酸、オレイン酸を多く含み、酸化安定性が高い。常温で半個体で、適度な融点を持つ」という点が挙げられる。

 3月28(土)にドキュメンタリー映画『グリーン・ライ ~エコの嘘~』が劇場公開となる。ちまたでは「環境に優しい」商品を買うだけでオランウータン、海、そして熱帯雨林まで救えると宣伝されているが、実態を調べるため、監督のヴェルナー・ブーテ氏自身が世界を巡る内容だ。この作品で、まず訪れる場所が、世界最大のパーム油生産国、インドネシアのスマトラ島だ。彼は、ここで衝撃の光景を目の当たりにすることになる。

 数日前までは熱帯雨林だったのに、不法伐採された場所に立ち、ブーテ監督は絶句してこう語る。

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筆者

関根健次

関根健次(せきね・けんじ) ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役社長、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事

1976年生まれ。ベロイト大学卒。2002年にユナイテッドピープルを創業し、 09年から映画事業を開始。11年からは国際平和映像祭(UFPFF)も 開催している。2016年から1年、平和国家コスタリカに暮らした。

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