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欧米で流行中のコロナは今までより10倍以上危険

各国の感染者数と死亡者数の推移から読み取れるもの

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

 新型コロナウイルスが欧州で急拡大を続けている。厳しい「戦時体制」の対策を敷いて2週間にもなるのにだ。東・東南アジアとここまで違うと、ウイルスが変異して、より凶悪なタイプに変わったのではないかという疑いが出てくる。

拡大外出が原則禁止され、普段は混み合う道路は車がほとんどなくなった=3月17日、イタリア・ローマ、河原田慎一撮影
 ウイルスは変異を起こしやすいものの、そのほとんどはウイルスの性質を変えない微細な変異だ。イタリアの公的機関も遺伝子解析の結果から「COVID-19は事実上の変異は起こっていない」と発表している。だが変異が小さいからといって、危険度が変わらないとは限らない。既にSタイプとLタイプという毒性の大きく異なる2種類が見つかっているのだ。だから、現時点で流行している「欧州型」がどこまで危険なのかはぜひとも知りたい。以前ギランバレーで3カ月間人工呼吸器のお世話になり、今も身障者で今年還暦の私はリスクグループに属するわけで、この情報がないのは困るのである。しかしどの公的機関も危険度について発信していない。そこで、自分で調べてみることにした。その結果は、欧州型が東・東南アジアのCOVID-19とは別物というべき危険度を持っていることを示していた。

情報がないなら、公開データから推定せよ

 私は地球太陽系が専門で、医療の部外者だ。COVID-19に関する詳しいデータは手に入らない。でも、感染者数と死亡者数だけは多くの機関が公表しており、それを解析することはできる。地球太陽系科学者は異なる種類のデータの比較を日常茶飯事に行なっているわけで、国ごとに異なった基準で求められた数値の客観化は難しくない。もちろん正確な値は求められないが、(1)感染力と(2)死亡率の国ごとの相対評価はできる。 

拡大コロナ問題でのテレビ演説するドイツのメルケル首相=ドイツ政府HPより
 「感染力」とは、本来は同じ接触度(距離)で感染する確率の高さだが、本稿では感染者数拡大の速度(感染者数の増加率)として使う。実際のデータでは、感染者数と死亡者数の両方で推定する。感染者数は検査基準が国によって全然違うため、日本のように特定の条件の患者だけを検査するのか、ドイツのように徹底的に検査するのかで国ごとの比較が簡単にはできないが、その増加率ならある程度信頼できるし、それが死亡者の増加率と概ね一致するなら確かに信頼できる。

 死亡者数も信頼できる数字である。厳密には一般の肺炎による死亡者の中にコロナ感染者が紛れている可能性はあるが、それは統計上で誤差の範囲内だろう。

 ここで使用したのは欧州連合(EU)傘下の欧州疾病予防センター(ECDC)のデータである。これは統計データ解析の基本ともいえる時系列データをダウンロードできるサイトで、毎日の瞬間値だけを出しているほかのサイトと一線を画している。

欧州型の死亡率はアジア型の3~10倍かも

 感染が拡大している初期は、死亡者累積を感染者累積で割った「見かけの死亡率」が実際の死亡率(感染者のうち死亡した人の割合)より低くなる。感染から死亡まで時間差があるからで、時間差が長いほど、感染力が強いほど差が大きい。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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