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新型コロナは「インフルエンザ化」まで収束しない

感染爆発が終わる時期と、今後の対策のあり方を見定める

唐木英明 東京大学名誉教授、公益財団法人「食の安全・安心財団」理事長

 論文によれば、各種の対策のうち感染者の早期発見と隔離が感染の拡大阻止に最大の効果があり、市民の接触制限にもかなりの効果があった。前者は行政の仕事であり、後者は個人の努力である。

 時期も重要で、もし対策が2週間早かったら、患者数は84%少なくなったはずだという。武漢封鎖は旧正月の2日前であり、少なくとも500万人の市民が封鎖以前に武漢を出て、中国各地に感染を広げただけでなく、イタリアなどヨーロッパ各地の感染原因になった可能性が高い。中国の対策が2週間早ければ、武漢の感染者数は4万9千人から7800人に激減し、医療崩壊は起こらなかったかもしれないとしている。

感染爆発が終わる時期はいつか

 中国の感染爆発は約4週間で収束し、韓国は約3週間で収まっている。イタリアも感染爆発が始まってから約3週間が経過し、新規感染者はピークを過ぎたように見える。各国の対策はほぼ同じなので、早期に対策をとれば感染爆発は4週間程度で収まることが予測される。ということは、ヨーロッパと米国での感染爆発は4月中に終わる可能性がある。しかし、それで問題が終わるわけではない。

拡大自粛要請に応じず開催された格闘技イベントの会場=2020年3月22日、さいたま市中央区、笠原真撮影

 新型コロナが急速に広がる原因は、私たちがだれも免疫を持っていないことと、ワクチンがないことだ。しかし、もし人口の7割前後が感染すれば、その人たちは免疫を獲得して感染拡大は止まる。前回述べたようにこれを集団免疫と呼び、欧州各国では、最悪の場合、そのような事態になることを国民に説明している。

 それでは、多数の感染者が出た武漢では、集団免疫を得られたのだろうか。武漢の人口は1100万人、感染者は4万9千人と発表されている。しかし4万人以上の感染者を除外しているという報道がある。仮に感染者を11万人としても、その割合は人口の1%である。ということは、市民の大部分はまだ免疫を得られていないのだ。このところ新規感染者はでていないというが、4月8日に予定されている封鎖解除の後、感染者が入ってくれば再び感染が拡大するだろう。

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筆者

唐木英明

唐木英明(からき・ひであき) 東京大学名誉教授、公益財団法人「食の安全・安心財団」理事長

1964年東京大学農学部獣医学科卒。農学博士、獣医師。東京大学農学部助手、同助教授、テキサス大学ダラス医学研究所研究員などを経て、東京大学農学部教授、東京大学アイソトープ総合センターセンター長などを務めた。2008〜11年日本学術会議副会長。11〜13年倉敷芸術科学大学学長。著書「不安の構造―リスクを管理する方法」「牛肉安全宣言―BSE問題は終わった」など。

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