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コロナを制御したノルウェー、制限緩和を発表

具体的でわかりやすい国の指示、幼稚園と小学校低学年から再開へ

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

拡大制限緩和を発表するノルウェーのソーベルグ首相=2020年4月7日、ノルウェー政府のHPより
 ノルウェー政府が、コロナ対策のためにとった厳しい制限を徐々に緩めていくと4月7日に発表した。新型コロナと診断された入院患者の数は3月初めから27日まで急激に増えたが、そこから4月6日まで300人強とほぼ一定で推移し、7日以降は減少に転じている。ソーベルグ首相は「皆さんの協力で、ウイルスを制御(アンダーコントロール)することができた」とし、「制限の解除を少しずつ進めることができる。慎重に、時間をかけてやっていきましょう」とさらなる協力を国民に呼びかけた。

1人の患者が感染させる平均人数が0.7に

拡大新型コロナウイルス感染が確認された入院患者数の3月8日から4月12日までの変化=ノルウェー保健当局のHPから
保健当局のHP
 ノルウェーの面積は日本よりわずかに広いが、人口は537万人と兵庫県と同程度に過ぎない。人口密度が低ければ、それだけ感染は広がりにくいといえる。それにしても対策を始めてから約1カ月で制限を緩めるフェーズに入れたことは、世界中の人たちに希望を感じさせる出来事だと思う。

 7日の記者会見でソーベルグ首相は、1人の患者が平均して何人に感染させるかの数値が0.7と推定された(この数値が1未満だと流行は収まっていく)と述べ、「しかしこれは今この瞬間の状況に過ぎない。油断してはならない。これからの仕事は、ウイルスに対する制御を維持することだ」「もし対策の変更が失敗に終われば再度厳しい対策をとる」と楽観を戒めた。メルビー教育統合大臣は「すべての生徒が夏前に学校に戻れるようになることが目標」と言い、ホイエ保健介護大臣は「感染予防策の明快な基準が安全な事業再開を可能にする」と説明した。

保健当局と業界が協議して感染防止対策基準を作る

 具体的な制限緩和のやり方を

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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)、編集委員を経て科学コーディネーターに。2021年9月に退社。著書に『重力波 発見!』『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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