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コロナ休校の影響は深刻、今こそ秋入学への移行を真剣に考えよう

すべての学校で今年度の半年延長を、そして一斉に秋入学を

篠原秀雄 埼玉県立浦和西高等学校教諭

拡大新潟県の高校は4月から再開したのに15日から再び休校に。受験への影響を不安に思いながら高校へ向かう生徒たち=2020年4月14日、新潟市中央区、高橋俊成撮影
 本来なら始業式、⼊学式が⾏われるはずだった4⽉8⽇。その前⽇の7⽇夜、安倍⾸相から緊急事態宣⾔が出され、筆者の勤務校がある埼⽟県もその対象となった。宣⾔を受けて、それまでは4⽉12⽇までとされていた休校期間が5⽉6⽇までに延⻑された。私⾃⾝はこの4⽉1⽇付けで勤務校を移ったのだが、2⽉末からの休校により前任校の⽣徒に別れを告げることもできず、そして新しい学校でも⽣徒に会うことがないまま、⽣徒不在の新学期を迎えることになってしまった。

荒波にもまれ続ける現⾼校3年⽣

 現⾼校3年⽣は、これまでにも入試改革の導入やその2本柱の突然の見送りなど、荒波にもまれ続けてきた。さらに今、新型コロナウィルス感染拡⼤という⼤変な試練に直⾯している。今年2⽉末から始まった⼀⻫休校により、本来なら学年末に実施されたはずの重要な進路⾏事も、あるいは春休みに参加するはずだった⼤学や専⾨学校のオープンキャンパスなどもみな中⽌となってしまった。

 本稿では、筆者がこれまでに関わってきた⾼校での進路指導の観点から、コロナ休校が及ぼす深刻な影響を報告する。さらに、これは⾼校3年⽣だけの問題ではなく、小学校から大学まで日本の教育全体を根底から揺るがす事態であることから、これを乗り越えるためには長期的な展望にもとづく対策を早期に行っていく必要があると訴える。具体的には、すべての学校について今年度を半年延⻑するとともに、翌年度以降の秋⼊学への移⾏を提案する。

休業要請により厳しくなる就職活動

 通常であれば、⾼校における就職活動は次のように進む。

 各企業は5⽉頃までに翌年度の採⽤計画を⽴て、採⽤に関する具体的な情報が記⼊された求⼈票を7⽉に⾼校へ送る。⽣徒は夏休み中に企業を⾒学した上で、⼊社したい企業を決めて9⽉の採⽤試験を受験する。

 ところがコロナ騒動により、多くの企業において次年度の採⽤計画は縮⼩の⽅向で⾒直さざるを得ないと予想される。求⼈件数が激減する中で就職活動をしなくてはならない⽣徒の困難さは察するにあまりある。少ない求人情報の中から選んだ結果、企業とのマッチングがよくなかった場合には早期の離職も危惧される。

 ⽣徒にも企業にも現在の状況は厳しいのである。企業の体⼒が少しでも回復するまで、⼀連の⽇程を先送りすることが必要ではないだろうか。


筆者

篠原秀雄

篠原秀雄(しのはら・ひでお) 埼玉県立浦和西高等学校教諭

1962年生まれ。千葉大学大学院教育学研究科修士課程修了。埼玉県の高校教諭となり、県立草加東高等学校で進路指導主事を務めた後、今春、異動。物理を教えるかたわら、科学教育、天文教育に関わり、ノルウェーの研究者らとともに芸術と融合した科学教育”Global Science Opera”などに取り組んできた。日本天文学会ジュニアセッション実行委員。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです