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コロナ休校の影響は深刻、今こそ秋入学への移行を真剣に考えよう

すべての学校で今年度の半年延長を、そして一斉に秋入学を

篠原秀雄 埼玉県立浦和西高等学校教諭

休校の影響は授業だけでなく学校⾏事や部活動の⼤会にも

 休校期間中の授業の代替として、当⾯の課題を⽣徒に渡したり、ビデオ撮りした授業をオンライン配信したりするなどの対応がとられつつある。教師として精いっぱいできることをやりたいとは思う。しかし、これらの対応では本来の授業の代替としては不⼗分である。

拡大オンライン授業のため、タブレット端末で録画する日本史の高校教諭=2020年4月14日、愛知県大府市の県立大府東高校、花野雄太撮影

 授業は、⽣徒と教師あるいは⽣徒同⼠の双⽅向のやり取りの中で、理解が深められていく。⼀通りの学習が済んでいる浪⼈⽣ならまだしも、⾼校3年⽣はまだ学習していない領域も多く、現在は学習の⼟台を築く段階である。その重要な期間が失われていることを看過できない。

 ⾏事等の中⽌の影響も⼤きい。1学期には体育祭や⽂化祭などの⼤きな⾏事が予定されている学校が多い。また、部活動の⼤会やコンクールなどもこの時期に数多く実施される。3年⽣にとって、⾼校⽣活最後の思い出となる重要なイベントである。かけがえのない⻘春の思い出がなくなるだけではなく、それは進路活動にも⼤きく影響する。

 専⾨学校や⼤学・短⼤におけるAO⼊試(総合型選抜)や推薦⼊試(学校推薦型選抜)は、ほとんどが夏から秋にかけて実施される。そこで重視されるのが調査書や⾯接、⼩論⽂などである。学校⽣活で特に⼒を⼊れたことや成果などが調査書に記載され、⾯接や⼩論⽂で⽣徒⾃⾝によって語られる。

 ところが、本来もっとも⼒を⼊れて語られるべき3年⽣1学期の活動のほとんどが消えているのである。最上級⽣として、そして⾼校⽣活最後の取り組みとして臨むはずだった⾏事や⼤会こそ、⽣徒たちがもっとも語りたかったことである。部活動や⾏事に⻘春をかけてきた⽣徒たちにとって、それが消えてしまった喪失感はあまりにも⼤き過ぎる。仮にこれらの⼤会や⾏事だけを2学期に先送りしても、その2学期に実施される予定のAO⼊試や推薦⼊試には間に合わない。

図書館や予備校、学習塾の休業が学習の場を奪う

 緊急事態宣⾔を受けて、多くの地域で図書館も閉館されている。家庭で静かに学習できる環境の⽣徒ばかりではない。幼い弟妹たちと同じ部屋で勉強せざるを得ない⽣徒も多い。

 筆者が勤務してきた⾼校でも、⾃宅では勉強できず、放課後遅くまで学校に残って受験勉強に取り組む⽣徒の姿を数多く⾒てきた。そのような⽣徒にとって、学校が休校になり、さらに図書館も閉まっている現在の状況は、勉強するにはあまりにも過酷である。

 予備校や学習塾も休業するところが増えており、学習の機会だけでなく学習の場までもが奪われているのである。⾸都圏では私⽴⼤学の定員厳格化などによる⼊試の混乱が続いており、⼤⼿予備校による模試の判定も進路指導の重要な資料となるはずだが、その模試も中⽌される例が出てきている。

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筆者

篠原秀雄

篠原秀雄(しのはら・ひでお) 埼玉県立浦和西高等学校教諭

1962年生まれ。千葉大学大学院教育学研究科修士課程修了。埼玉県の高校教諭となり、県立草加東高等学校で進路指導主事を務めた後、今春、異動。物理を教えるかたわら、科学教育、天文教育に関わり、ノルウェーの研究者らとともに芸術と融合した科学教育”Global Science Opera”などに取り組んできた。日本天文学会ジュニアセッション実行委員。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです