母語の違いにより発音にクセ、推測しながらコミュニケーションを
2020年04月30日
近年、日本のいたるところで外国人と接する機会が増えており、外国人と日本語でコミュニケーションするのは日常的な出来事になっている。そのとき、聞き慣れない不自然な発音を耳にすることがある。意味が通じればよいが、意味が通じず、何と言っているのかわからないという場面になることも少なくない。
過去の日本では、外国人と接する機会が他の外国に比べ乏しかった。普段、あまり外国人と接触しない日本人は、外国人の発音を聞いて、何と言っているのか推測できなくても当然である。しかし、母語の違いによって発音にもクセがあることや、外国人が混同しやすい日本語の発音などについて知っておけば、聞き取れる場合がぐんと増える。
日本語を話そうとする外国人が増えている今、地域社会では、外国人にとってわかりやすい情報伝達を行うために「やさしい日本語」を使用する動きが活発化している。この動きに加えて、喫緊に必要なのは日本人の「耳を鍛える」ということである。外国人の日本語を聞いて、何と言っているのかを考え、推測しながらコミュニケーションをお互いに作り上げていく姿勢が大事なのである。
私は、「日本語学習者における音韻習得」を専門とする研究者で、留学生たちに日本語の発音も教えている。外国人がどんなところで苦労しているのかをお伝えし、日本人の「耳」の鍛錬に少しでもお役に立ちたいと思う。
まず、どれほど外国人が増えているのか、統計を見てみよう。日本に滞在している在留外国人は、法務省統計によると、2018年末には270万人を超え、過去最高となっている。また、2019年の出入国管理法改正により、今後5年間で最大34.5万人の新たな外国人材の受け入れが想定されており、外国人と接する機会はますます増えることが予想される。現在、コロナ禍で先行きが不透明になっている面はあるものの、長期的には今後とも在留外国人が増え、私たちの日常生活に欠かせない存在になっていくだろう。
では、日本に住む外国人はどこの国の出身が多いのだろうか。データによると、中国が1位、韓国が2位であり、3位はベトナムとなっている。私たちの周りに中国人、韓国人が多いというのは印象として誰もが持っているだろうが、在留外国人の推移を見ると、この5年間でベトナム人が右肩上がりに増加している。現在は、この3カ国で在留外国人の過半数を占めており、彼らがどのようなところで苦労しているのかを中心にこれからご紹介したい。
日本人には難なく発音できるのに、外国人には難しい、という日本語はかなりある。例えば、
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