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火事場泥棒のような「宇宙基本計画(案)」意見募集

国民にとって切実な防災・防疫よりも軍事を優先する安倍政権の本質が丸見え

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

拡大情報収集衛星「光学7号機」を載せ、打ち上げられたH2Aロケット41号機=2020年2月9日午前10時34分、鹿児島・種子島宇宙センター、長沢幹城撮影
 「宇宙基本計画(案)」について意見募集のお知らせが内閣府から出た。締め切りは4月27日で、「不急」の行動を減らすべく緊急事態宣言を出している最中である。公募開始は4月6日で、すなわち緊急事態宣言の前日であり、まさに駆け込みで始めたととれるタイミングだ。そもそも公募の周知には時間がかかるものであり、宇宙探査に大きく頼っている所属学会を通して私が知ったのは締め切りの1週間前である。つまり「緊急事態宣言の最中に、数日で意見を出せ」と言われたのだ。あわてて読んでみて、その内容にさらに驚いた。「今後の宇宙開発は軍事利用を最優先し、防災や科学は捨てる」と宣言しているに等しいのだ。安倍政権の本質が丸見えであり、これは大問題だと声を大にして訴えたい。

真っ先に出てくる「安全保障」

拡大「宇宙基本計画を作成し、それを実施し推進する」ことを任務とする「宇宙開発戦略本部」の会合であいさつする安倍晋三首相(中央)=2019年12月13日午前、首相官邸、岩下毅撮影
 まず第1章「宇宙政策をめぐる環境認識」を見てみよう。真っ先に「安全保障における宇宙空間の重要性の高まり」が書かれ、次が測位(準天頂衛星)や通信(5Gの次)などの宇宙インフラ強化、続けて人工衛星の応用範囲の拡張などが書かれて、はやぶさ等、日本の名前を世界に知らしめした一連の科学ミッションについては一言も書かれていない。はやぶさ、はやぶさ2の名前が出て来るのは第4章「宇宙政策に関する具体的アプローチ」の1カ所のみだ。防災についても、台風や火山噴火の詳細データをリアルタイムで得るための防災衛星(国土交通省の分野)は全く触れられていない。気象衛星「ひまわり」しかないのである。何十年前の話をしているのかと思う。

 詳細方針を見ると異常さはもっと分かる。

 この手の文書は優先度の高い順に項目分けするのが普通だ。第2章「我が国の宇宙政策の目標」では、

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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