海の爬虫類「オムファロサウルス類」とみる古生物学者・中島保寿さんに聞く
2020年05月05日
――中生代(約2億5200万年~約6600万年前)の海の爬虫類というと首の長い首長竜が思い浮かぶ。
中生代の海で繁栄した爬虫類には、プレシオサウルスなどの首長竜のほか、魚やイルカのような形をした魚竜やモササウルス類がいた。そのころの海では爬虫類が有力な捕食者として繁栄していた。このうちモササウルス類が現れるのは白亜紀後期だが、魚竜と首長竜はかなり起源が古い。
――いつごろから現れたのか。
魚竜は三畳紀(中生代の最初の時代区分、約2億5200万年~約2億年前)の初めごろには海にいた。世界で最も古い魚竜の一つが、宮城県歌津町(現在の宮城県南三陸市歌津)の大沢層という地層から見つかり、1978年に発表された歌津魚竜(ウタツサウルス)だ。この種類は、その後も何体か発掘されている。最古の首長竜は、鰭竜類というグループから三畳紀後期に出現している。ドイツの2億500万年前の地層で見つかった首長竜について、私も加わった独仏日のグループで2017年に「最古の首長竜を発見」という発表をした。
――今回発表した化石は、地層としては歌津魚竜と同じ大沢層からの発見と聞いた。
三畳紀前期(約2億5200万年~約2億4700万年前)の同時代だが、化石としては明らかに区別できる。歌津魚竜は体長2メートルくらいで、魚に似た流線形をしている。頭部は長さ20センチくらいで、あごに生えている歯は小さく、円錐形で鋭くとがっているのが特徴だ。魚竜の多くはこうした歯を持ち、魚や頭足類(イカやタコの仲間)を食べていたと考えられる。ところが、今回の化石の歯は球状をしていて、いっさいとがっていない。色も黒いので、まるでタピオカみたいだ。この歯で硬いものを砕いたか、すりつぶしたとみられる。餌としては、貝や甲殻類(エビやカニの仲間)を食べていたのだろう。
――そこから、オムファロサウルス類と言えるのか。
化石発見者の古村俊行さん(発見当時は東京大学理学部の学生)から2019年にこの化石を受け取った時は、球状の歯が1列しか見えなかった。しかし、
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