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タピオカみたいな丸い歯が並ぶ そんな中生代化石の正体は何?

海の爬虫類「オムファロサウルス類」とみる古生物学者・中島保寿さんに聞く

米山正寛 朝日新聞記者(科学医療部)

拡大研究中の海生爬虫類化石を手に語る東京都市大学の中島保寿准教授=筆者撮影
 太平洋に面した東北地方の三陸海岸。その南端近くに位置し、2011年に起こった東日本大震災による被害を受けた宮城県気仙沼市本吉町で、黒い球状の歯がついた化石が2016年に発見された。東京都市大学理工学部自然科学科の中島保寿准教授(古生物学)はその化石の研究を託され、中生代の海生爬虫類、オムファロサウルス類のものであるとの見方を、今年2月に開かれた日本古生物学会例会で発表した。この仲間であるとすれば、国内での発見は初めてとなる。これから正式な論文発表を目指すという中島さんに、まだ謎の多い化石の正体について聞いてみた。

海で爬虫類が繁栄した時代

――中生代(約2億5200万年~約6600万年前)の海の爬虫類というと首の長い首長竜が思い浮かぶ。

 中生代の海で繁栄した爬虫類には、プレシオサウルスなどの首長竜のほか、魚やイルカのような形をした魚竜やモササウルス類がいた。そのころの海では爬虫類が有力な捕食者として繁栄していた。このうちモササウルス類が現れるのは白亜紀後期だが、魚竜と首長竜はかなり起源が古い。

――いつごろから現れたのか。

 魚竜は三畳紀(中生代の最初の時代区分、約2億5200万年~約2億年前)の初めごろには海にいた。世界で最も古い魚竜の一つが、宮城県歌津町(現在の宮城県南三陸市歌津)の大沢層という地層から見つかり、1978年に発表された歌津魚竜(ウタツサウルス)だ。この種類は、その後も何体か発掘されている。最古の首長竜は、鰭竜類というグループから三畳紀後期に出現している。ドイツの2億500万年前の地層で見つかった首長竜について、私も加わった独仏日のグループで2017年に「最古の首長竜を発見」という発表をした。

拡大中生代の主な動物の生息期間。大沢層の年代は、中生代の最初期にあたる=東京都市大学提供

歌津魚竜と同じ三畳紀前期の化石

――今回発表した化石は、地層としては歌津魚竜と同じ大沢層からの発見と聞いた。

 三畳紀前期(約2億5200万年~約2億4700万年前)の同時代だが、化石としては明らかに区別できる。歌津魚竜は体長2メートルくらいで、魚に似た流線形をしている。頭部は長さ20センチくらいで、あごに生えている歯は小さく、円錐形で鋭くとがっているのが特徴だ。魚竜の多くはこうした歯を持ち、魚や頭足類(イカやタコの仲間)を食べていたと考えられる。ところが、今回の化石の歯は球状をしていて、いっさいとがっていない。色も黒いので、まるでタピオカみたいだ。この歯で硬いものを砕いたか、すりつぶしたとみられる。餌としては、貝や甲殻類(エビやカニの仲間)を食べていたのだろう。

――そこから、オムファロサウルス類と言えるのか。

 化石発見者の古村俊行さん(発見当時は東京大学理学部の学生)から2019年にこの化石を受け取った時は、球状の歯が1列しか見えなかった。しかし、

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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 朝日新聞記者(科学医療部)

朝日新聞科学医療部記者。「科学朝日」や「サイアス」の編集部員、公益財団法人森林文化協会事務局長補佐兼「グリーン・パワー」編集長などを務め、2018年4月から再び朝日新聞の科学記者に。ナチュラリストを夢見ながら、とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せて取材活動を続けている。

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