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プラスチックごみ問題を「自分ごと」として考える

福岡県のRKB毎日放送制作の番組が科学技術映像祭で内閣総理大臣賞

松井聡史 RKB毎日放送株式会社 制作局ディレクター

拡大「人類vsプラスチック」に登場するスタジオ。擬人化されたプラスチックが人類に対する思いを喋る。
 福岡県のテレビ局・RKB毎日放送が制作した「人類vsプラスチック」が第61回科学技術映像祭の内閣総理大臣賞に選ばれました。昨年12月25日深夜に放送した1時間番組です。ディレクターを務めた私の思いは、プラスチックごみ問題を「他人事(ひとごと)」ではなく「自分ごと」として考えてもらいたいというところにありました。そのために、放送スタジオにプラスチックが並んでしゃべるという演出をしたり、お笑い芸人・土居祥平さんに「脱プラスチック生活」に挑んでもらったりしました。今回の受賞でこの番組をより多くの人に見てもらえるチャンスが広がりました。これが最大の喜びです。

インパクトのある映像で、事実を身近に感じてほしい

 受賞の知らせを受けたのは、別番組で取材に向かう途中の海外の空港でした。飛行機を降りてスマホの電源を入れると、部長からのメッセージに「内閣総理大臣賞受賞」の文字が。喜びで気持ちが高揚したのですが、ここはバンコク。まだ公式発表ではないので一緒にいる取材相手にも言えず、嬉しい気持ちを誰とも共有できないまま悶々と3泊4日の撮影を終えたことを覚えています。

 このときは、バングラデシュの貧困問題の解決に取り組んでいる「ビジネスレザーファクトリー」の社長はじめスタッフの皆さんに同行取材をしていました。皆さんが「番組を通して、今、地球で起きている社会問題を視聴者に知ってほしい」とおっしゃるのを聞き、心の中で「不思議な縁」を感じていました。私もプラスチックごみ問題の番組を作るときに「まずは知ってほしい」と思っていたからです。

 ただ、単に「知る」だけではだめだとも思っていました。昨今メディアでは、SDGsや環境問題の企画を多く取り上げています。しかし、私自身、これらの番組を見たり記事を読んだりしても、どこか遠い国や自分に関係ないところでの話のように見えるという感覚がありました。そこで今回の番組は、環境問題と自身の消費行動を結びつけることを目的にしようと考えました。

拡大人間はプラスチックを毎週5g食べているというオーストラリアの大学の実験結果を可視化したシーン。食べ物(卵焼き)に混ぜることで、海洋生物が人間が作り出したプラスチックを誤食している事実を伝えたいという思いもあった。

 「人間は1週間でプラスチック5グラムを体内に取り込んでいる」という研究結果や「日本はプラスチックごみを年間100万トン東南アジアへ輸出している」という事実など、これまで見聞きした多くのデータをまとめ、それらを可視化することによって身近に感じてもらおうとしたのです。単なる数字をいかにしてインパクトある映像にするか、視聴者が自分ごととしてとらえるにはどんな表現がいいのか。苦心しましたが、楽しかったです。

「買い物は投票」、買い物を通じて社会を変えられる

 「自分ごと」と感じられるものは映像に限らず文字でもたくさん見つけました。その中のひとつが

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筆者

松井聡史

松井聡史(まつい・さとし) RKB毎日放送株式会社 制作局ディレクター

1975年生まれ。福岡県出身。大学卒業後、東京にある制作プロダクション・オフィスクレッシェンドに所属し、映画監督大根仁(「モテキ」など)に師事。10年間の経験を積み、2010年から福岡県のRKBにてテレビ番組制作に携わる。情報番組に始まり、「柴咲コウのサステイナブルな旅」(2018年)をきっかけに環境問題に取り組み始める。