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ワイドショーのコロナ報道に再度、反省を促す

新型コロナウイルスの画像を無神経に使いまわすな

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 在宅勤務をするとテレビを視聴する機会が増えがちだ。しかし、ワイドショー(一部の報道番組も含む)のコロナウイルスの取り扱いに不愉快にさせられる事が多い。見るほうが悪いと言われればそれまでだが、情報を知るためにテレビを全く見ないわけにもいかない。私の感じる不愉快さは、番組制作者がいつもどおりの決められた手順を繰り返すだけで、自分の頭で考えている様子が全くないためのようだ。

拡大不愉快とはいえ、テレビを全く見ない生活は難しい
 現在の危機的状況に適切に対応できない政府や人々を批判することは重要だ。その意味で、ワイドショーには通常のニュースと相補的な役割がある。実際、納得できる指摘もあるし、一定の評価を得ている場合もある。一方で、批判する側が、される側と同等の愚かな行動をしているならば、せっかくの説得力を失ってしまう。

 残念なことに、テレビ局の姿勢を自ら常に点検し必要に応じて修正しようとする動きは見られない。私も過去3回の記事(3月4日4月2日4月5日)でこの問題を提起してきた。それらと一部重複するものの、あえてワイドショー(及び一部の報道番組)が是正すべきと考えるいくつかの問題点を指摘させて頂きたい。関係者がこれを読むかどうかはわからないが、我々がこの危機を乗り越える上で支えとなるような番組を制作してくれることを切に望む。

1.コロナウイルスの画像ばかり見せるな

 コロナの話題となると、必ずウイルスの拡大画像が画面一杯に映し出されるのがお約束だ。オレンジ色と白黒の二種類、といえば誰でも目に浮かぶであろう。ネットニュースや新聞の電子版記事のアイコンとしても多用されている。しかしなぜそのようなどぎつい画像を用いる意味があるのか。私が最も気になるのはこの画像である。些細なことだと思う人もいるかもしれないが、制作者が自分でものを考えず、無意識にインパクトのある画像を示すことが当然だと思いこんでいる端的な例だと思うのだ。制作側のオリジナリティーの欠如を笑ってすませられるだけではない。毎日不安な話題ばかりに接している視聴者が、幾度となくあの画像を見せられたらどうなるだろう。

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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし) 東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に、『人生一般二相対論』(東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『この空のかなた』(亜紀書房)、『情けは宇宙のためならず』(毎日新聞社)、『不自然な宇宙』(講談社ブルーバックス)などがある。

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