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ワイドショーのコロナ報道に再度、反省を促す

新型コロナウイルスの画像を無神経に使いまわすな

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災の際、繰り返される報道画像のためにPTSD(心的外傷後ストレス障害)となった方がいたことが問題となった。今では、東日本大震災の津波の画像を映す際には、テロップや口頭で予め注意することになっている。過去の例から学ばないにも程がある。実際私は、画面いっぱいに映るウイルス画像に続き、それをご丁寧にも4分割、16分割、と次々に同じ画像を細かく増殖させた連続映像を見せつけられ、すっかり気持ち悪くなったことがある。過去の例から学び、自分たちの番組が視聴者に過剰な不安感を植え付けてしまう可能性を十分認識してほしい。

2.ただでさえ薄い内容をたらたら2時間に引き延ばすな

 民放のワイドショー(含むワイドショー的報道番組)はほぼ2時間枠のようだ。在京4局(テレビ東京はワイドショーを制作していないようだ。一つの見識だろう)が、午前・午後・夕方の3回ほぼ似たような内容を別番組で繰り返している。その半分以上の時間はコロナ関係に費やされている。ニュース的な価値のある本質的な情報量はせいぜい20分程度だろう。それ以外は、意図的にインパクトを与えるような画像、単なる憶測や雑談、必ずしも科学的とは思えない説明をくどくど付け加えてコマーシャルにつなぐことで、なんとか2時間視聴者をひきとめようとしているように思える。

拡大高齢者にはとりわけ、テレビは大切な情報源だが
 それくらいならば、インターネット上で公開されている良質の動画を実際に公開するほうがはるかに有益だ(それらの簡単な紹介はなされることもあるようだが、高齢者を含むかなりの割合の人々はその後で自ら探して視聴することは困難だろう)。例えば、コロナ関係の情報は各番組で30分程度に抑え、それ以外は、自宅でできる運動や体操など年齢別に心身の健康を維持する方法、各界の著名人からの応援メッセージ、音楽、料理、ナレーションなしの国内外の美しい風景、などを時間をかけて見せてはどうだろう。すでにNHKはそのような放送を実施している。視聴料で支えられているおかげかも知れないが、この状況であれば民放であろうと不可能とは思えない。

 テレビ局が互いに調整してそれらの順番をずらせておけば、視聴者はどれかのチャンネルで自分がみたい内容を選ぶことができる(事情は異なるが、大学のオンライン講義化は同時に講義のオンデマンド化に直結するので、学生にとっては選択の自由度が格段に増える)。あまり意味のないレギュラー出演者に出演料を払うのではなく、音楽・文化活動(笑顔を与えてくれる芸人も含む)ができず困っている人たちに正式に仕事を提供できる良い機会ではないだろうか。

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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし) 東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に、『人生一般二相対論』(東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『この空のかなた』(亜紀書房)、『情けは宇宙のためならず』(毎日新聞社)、『不自然な宇宙』(講談社ブルーバックス)などがある。

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