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コロナの「隠れ犠牲者」をどのように把握するか

死因に寄与している可能性が少しでもあればコロナ死とするスウェーデン方式の合理性

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

ニューヨークタイムズの検証で推定された隠れ死者

 「隠れコロナ犠牲者」が各国にどれくらいいるかを検証したのがニューヨークタイムズの4月下旬の記事だ。死者数の多い10の国または都市について、3月9日~4月5日の4週間の死者数が平年よりどれだけ多いかを調べ、その超過分と、公式発表のコロナ死者数を比較したのである。翌週には米国7州の結果も報告していたので、その結果もあわせて表1にまとめる。

拡大表1:死者数の多い地域の「隠れコロナ死亡者」

 4月5日といえば、スペインやフランスのケアハウスの「大量死」の数字が反映され始めた時期だ。それでも、超過死亡数は、公式のコロナ犠牲者数の1.3-2倍という結果が出ている。正確な値を報告していたのはベルギーとスウェーデンだけだ。

 日本はどうだろうか。コロナ感染の疑いがあるだけではコロナ死亡者にならないし、極めて限られた検査でのコロナ感染者しか死亡数に入れていないから、隠れ死亡者がはるかに多い可能性がある。

 これを検証するにはニューヨークタイムズと同じように平年の死亡者数からの超過分を調べるべきだろう。そこで東京の人口動態で調べた(図3)。「平年」の予想数は2018年まである年間死亡者数の推移から2019、2020年も推定して(外挿)、それを単純に12で割った。それによると、2月(ピンクの線)は2020年は他の年より低いぐらいで、隠れ死者のいないことを示す。2月にコロナは確かに抑えられていたのである。

拡大図3:東京のここ5年の死亡者数の移り変わり。点線は2018年までの変動から推定した年間値を12で割ったもの。
東京都統計部

 しかし3月(橙色の太線)が問題だ。複数の区市で急上昇が見られている。港区や杉並区はギリギリ自然なふらつきの範囲だが、東大和市はふらつきの範囲を超えた増加となっている。2月に減った分の揺り戻しの可能性もあるが、「隠れコロナ犠牲者」の可能性も否定できない。その数字は東京都全体で最大150人と見積もられる。3月の公式のコロナ死亡者は15人だから、最悪の場合10倍だ。

 一見非現実的な値だが、免疫検査を使った感染死亡率の日欧の差(ドイツ0.4%、東京0.02%)と同じだから、あり得ない話ではない。しかも東京23区では肺炎死の異常な上昇も報告されていて(インフルエンザ関連死亡迅速把握システム)、それらをコロナと確定しきれなかったと考えると、つじつまも合うのである。

 4月の人口動態が出れば、もっと正確なことが分かるだろう。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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