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新型コロナ対策の次亜塩素酸水で「本当に怖いこと」

「有効性」「安全性」めぐって深まる混乱 欠かせない事実の見極め

伊藤隆太郎 朝日新聞記者(西部社会部)

 次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの関係も、これに似ている。次亜塩素酸は不安定な気体だが、水に溶かすとある程度は保存できる。次亜塩素酸ナトリウムの水溶液は、要するに「ハイター」や「ブリーチ」などの漂白剤で、強いアルカリ性だ。

 次亜塩素酸水は食品添加物であるほか、歯科医院などでも洗浄に用いられ、それほど強い刺激性はない。でも次亜塩素酸ナトリウム液は強烈だ。まさかハイターを飲む人はいないだろう……と思っていたら、そうでもなかった。「NHKから国民を守る党」という微妙な組織に属する市議が、次亜塩素酸ナトリウム液について「服用すると体内の血液中に吸収され細菌を殺す」などとデタラメを発信。これを真に受けた同党の女性が、本当に飲んで体調を崩した。なんとも世の中は奥深い。

混乱2 次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに有効か?

 次に2点目の問題。先月末から、ここで対立が深まっている。新型コロナに効くのか?

    1.有効 2.無効 3.分からない

 3択の正解は、関係省庁の現時点の見解では「3」だ。つまり、まだはっきりしない。ところが、この「分からない」をそのまま「無効だ」と誤解する人がけっこういる。わが論座の筆者陣もそうで、なんとも心苦しい。関係者が苛立つのもわかる。

 経緯はこうだ。まず関係省庁が「新型コロナウイルスの消毒に有効である」として当初から認めていたのは、次の二つ。

拡大左から森永乳業とフクダ電子の次亜塩素酸水生成器、右は次亜塩素酸を使うパナソニックの空間除菌脱臭機

  ・エタノール
   (エチルアルコール)
  ・次亜塩素酸ナトリウム
   (ハイターなどの漂白剤)

 ところがハイターは手指の消毒に使えず、エタノールは品薄。そこで「有効かも知れないので、確かめよう」と選ばれ、検証に入ったのが次の三つだった。

  ・界面活性剤(台所用洗剤)
  ・次亜塩素酸水
  ・第4級アンモニア塩

 そして5月下旬、このうち一部の界面活性剤に有効性が認められたが、次亜塩素酸水には結論が出ず、いまも検証中。ところがこれが「次亜塩素酸水は新型コロナに効かない」といった誤解を生んだようで、困ったことだ。

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筆者

伊藤隆太郎

伊藤隆太郎(いとう・りゅうたろう) 朝日新聞記者(西部社会部)

1964年、北九州市生まれ。1989年、朝日新聞社に入社。筑豊支局、AERA編集部、科学医療部などを経て、2021年から西部社会部。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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