現場とものづくり企業の協力で生まれた新機軸、寄付を募ってプロジェクト発進
2020年07月08日
新型コロナ感染症が重症化すると、人工呼吸器や体外式人工肺(ECMO)などが使われることが広く知られるようになったが、これらの機器を動かすのは臨床工学技士(クリニカルエンジニア=CE)と呼ばれる専門医療職である。
私は2002年に臨床工学技士となり、医療機器の専門家として多くの医療スタッフとコミュニケーションをとりながら医療安全を高めることに大きなやりがいを感じてきた。昨年から病院に所属せずにフリーランスで仕事をするようになり、今年に入って技士同士のつながりを広げたいとネットで呼びかけて活動を始めたところで新型コロナの感染拡大という非常事態に直面した。
多くの施設から、何より医療現場を苦しめているのは感染防護具やマスク等が不足していることだという訴えが聞こえてきた。十分な感染対策ができないまま、未知の感染症と闘わなければならないとは……。どうにかならないのか、いや、自分たちでできることをとにかくやっていきたい。ネット上に集まった仲間たちの想いが一致して「OneCEコロナ対策プロジェクト」が立ち上がった。「OneCE」にはCE(臨床工学技士)が「一つになって」という意味と「一人ひとり」ができることをするという意味の両方を込めた。スローガンは「今、自分にできることを」である。
ここから、安価で使いやすい飛沫飛散防止シールドが生まれた。患者ののどに管を入れるときや管を抜くときには、患者がむせてしまい、飛沫が飛ぶことが多い。新型コロナウイルス感染患者は咳嗽(せき)が多く、その飛沫を浴びることも感染リスクを高める。これらが医療従事者にかからないように患者の頭をおおうように置く簡単な装置である。私たちは広く寄付を募って、この装置を医療機関に届ける活動を始めたところだ。
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