下條信輔(しもじょう・しんすけ) 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授
カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授。認知神経科学者として日米をまたにかけて活躍する。1978年東大文学部心理学科卒、マサチューセッツ工科大学でPh.D.取得。東大教養学部助教授などを経て98年から現職。著書に『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
中国がくしゃみをすれば、世界が風邪をひく
北上を続ける梅雨前線は、6月中旬に入ると、中国では南嶺山脈付近に停滞、日本では本州付近にまで勢力を広げてくる。次に梅雨前線は中国の江准(長江・准河流域)に北上する。6月下旬には華南や南西諸島が梅雨前線の勢力圏から抜ける。これが例年のパターン、ということだ。つまり梅雨の時季の気象は、東アジア全体で見る必要がある。
次に今年の問題の時期、5月〜7月の東アジア天気図の推移を、半月刻みで例示する(気象庁サイトによる)。見ずらいかも知れないが、以下の3点だけ実感してもらえればいい。①発生した梅雨前線が(今年は特に)長く日本列島を横断したまま停滞している様子、②気圧配置が東アジア全体で安定し、高気圧が北から南に張り出す夏型になかなかならない様子、そして何よりも、③中国大陸の気象が日本列島のそれと直接つながっている様子、の3点だ。
日本で大雨洪水警報が出たのは7月4日だが、前稿で述べた通り、華南で未曾有の規模の被害が出つつあることは、6月中旬の時点ですでに明らかだった。日本でも、気象庁や主要メディアはじめ官民で、もっと早く警戒の声を上げることはできなかったのか。
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