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コロナ禍で揺れる沖縄と、評価が高まるコスタリカ

軍隊の有無がもたらした感染拡大の違い

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 沖縄の「国際通り」は、かつてアーニーパイル国際劇場があったことからこの名がついたが、戦後の焼け野原から目覚しい発展を遂げたことと、長さがほぼ1マイルであることから、「奇跡の1マイル」とも呼ばれる那覇のメーンストリートとなった。現在、その両側に470軒ほどの店が並ぶが、コロナ禍で土産品店や居酒屋など40店舗が閉店に追い込まれ、臨時休業中のドラッグストアや飲食店なども40店舗近く確認されている。

那覇市の中心街「国際通り」の閉店した店舗
 沖縄県内においては、5月1日以降、68日間にわたって新規の新型コロナウイルス感染者は確認されていなかった。そこで国際通りの商店街振興組合連合会は、県をまたぐ移動の自粛が解除された6月19日に「国際通りウエルカム宣言」を発表し、7月26日からは日曜恒例の歩行者天国を再開して、「国際通り」の復活に向けた取り組みを打ち出そうとしていた。

 そこに冷水を浴びせたのが7月8日の新規感染者1名の発生であった。県外で接触し、沖縄県内にもどっての発症である。その後、県外者との接触などで感染者が相次いで発生し、7月21日までの2週間に13名の感染者が確認され、沖縄での累計の感染者数は153名となった。

恐怖の米軍コロナ感染拡大

 それに追い打ちをかけたのが在沖海兵隊における爆発的な感染者の発生で、7月20日までの累計感染者数は143名である。7月4日の米国独立記念日に基地外各地で無許可のビーチパーティーが開催され、マスクなしの三密状態での大騒ぎが感染爆発に寄与したとの見方が強い。米国は感染者数と死者数が世界最多で、現在、日本への入国拒否の対象国だ。

国際通りにある料理店は「休業」が続いている
 しかし米軍人は日米地位協定によって、入国拒否の対象外となっており、日本の検疫なしで入国してくる。入国に先立ってのPCR検査はなく、入国後2週間隔離されるが、隔離のために基地外の北谷町の民間ホテルを使用したことから地元はパニックに陥った。米軍人の感染状況・行動履歴を沖縄県も県民も満足に把握できず、それが大きな不安要因となっているのである。日本の安全のためにいるはずの米軍・米軍人が、県民の命を脅かしているのが沖縄の現実だ。

 そして7月22日からGoToトラベルキャンペーンが迷走スタートした。最大の感染地の東京を除く46道府県が対象であるが、沖縄はGoToでも人気の旅行先である。観光県沖縄としては、観光客は喉から手が出るほど待ち遠しいが、県をまたぐ移動には大きな不安が伴う。それに、米軍基地でのクラスター発生が旅行先としての沖縄にどのようなマイナスイメージを与えるかという懸念もある。玉城知事は、GoToに備え、7月22日から那覇空港で唾液による抗原検査を任意で実施すると発表している。

「三密」回避の抗議行動

 コロナが影響するのは観光業だけではない。沖縄の県民の主要関心事の辺野古新基地建設を巡ってもコロナが重大な影響を与えている。

キャンプシュワブゲート前で、「三密」を避けつつ座り込みを続ける抗議者
 工事関係者にコロナ感染者が発生したことと、6月7日の県議選への影響を避けるため、政府は辺野古新基地建設工事を中断していたが、6月12日に57日ぶりに再開した。これに伴って、辺野古のキャンプシュワブゲート前、安和桟橋、塩川港の3カ所での市民の抗議行動も再開したが、7月からはコロナ感染者が増えてきたため、県外からの参加を当面控えてほしいとの呼びかけもなされるなど、抗議行動のあり様は一変している。
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