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大学生の人間関係構築のために、大学は何をすべきか

問うべきは「対面かオンラインか」ではなく、大学が果たしてきていた「機能」の実現

三田地真実 星槎大学大学院教育学研究科教授、言語聴覚士

注目された「大学生の日常も大事だ」というツイート

拡大makiさんのツイッター(@D6Hy1q0FQJuxtPO)にあるマンガ
https://twitter.com/D6Hy1q0FQJuxtPO
 少し前に「大学生の日常も大事だ」というハッシュタグがつけられた美大生のツイートが瞬く間に多くの人にリツリートされたというネット記事があった。筆者のmakiさんはマンガで①4月から大学には一度も行けていない、②小中高校が登校可能になっている、旅行にも行けるのになぜ大学には行けないのか、と訴えている。このまま語義通りに受け取れば、makiさんの主張は「オンライン授業だけではなく対面授業を早く開始して欲しい」となるだろう。

 しかし、makiさんの「同級生もいない」「相談できる相手も先輩もいない」「一人オンライン授業に向かう(課題をこなす)」という発言から見えてくる真の訴えは、「先生、大学って授業のためだけに来てるんじゃないんですよ、同級生や先輩との関係も大事なんですよ」という「平時であれば大学のキャンパスで当たり前に構築できる人間関係の欠如」なのではないのだろうか。それが彼女の言う「大学生の日常も大事」というタグに集約されている。まさにキャンパスライフの欠如である。

対面かオンラインかではなく、大学の「機能」を問い直せ

 大学教員を含む大学関係者がここで問わなければならないのは、makiさん――そして多くの大学生――の願いを叶えるために「いつ対面授業を再開させるか」ではなく、「そもそも“大学のキャンパス”という空間はどのような“機能(役割)”を学生に対してこれまで果たして来ていたのか」という「機能」の視点からの再考である。なぜなら、コロナの第二波の兆候が顕著にみられつつある中で、安易に「対面授業」に舵を切ることにはやはり慎重にならざるを得ないからである。実際、7月に京都大学や阪南大学などいくつかの大学で同じクラブや団体に所属した者のあいだでクラスターが発生している。

拡大左の円が対面で行えていたこと、右の円がオンラインを表す。

 右の図は、対面授業が開講されているとき(左円)とオンライン授業が実施されているとき(右円)のそれぞれの機能を模式化したものである。通常の大学生活では、部活やサークルといった明らかな活動以外にも、キャンパスに集うことで生まれる言わば「隙間時間――授業の前後に友だちに会って他愛もないおしゃべりをしたり、そのままお茶をしに行ったり、あるいは飲み会をしたり――」が担保されている。自らの学生時代を思い起こしてみても、そちらに重きがかかっていたと言っても過言ではない。

 そこには「大学教員」が介入する必要もなく、いわば学生が自分たちで自由に人間関係を構築していたのである。この「授業以外の部分」、特に「人間関係の構築」という役割、機能をコロナ禍の大学が果たせていないとmakiさんは訴え、多くの人が共感したのだろう。

 これを裏付けるように、

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筆者

三田地真実

三田地真実(みたち・まみ) 星槎大学大学院教育学研究科教授、言語聴覚士

教員、言語聴覚士として勤務後、渡米。米国オレゴン大学教育学部博士課程修了(Ph.D.)。専門は応用行動分析学・ファシリテーション論。2016年からオンライン会議システムを使ったワークショップや授業を精力的に行っている。著書に「保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブック」など。教育雑誌連載と連動した「教職いろはがるた」(https://youtu.be/_txncbvL8XE)の動画配信中!

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