細田満和子(ほそだ・みわこ) 星槎大学大学院教授
東京大学大学院人文社会系研究科で博士(社会学)を取得し、2004年からコロンビア大学、ハーバード大学で社会学、公衆衛生学、生命倫理学の研究に従事。2012年に帰国し星槎大学に着任。主著書は『パブリックヘルス』、『グローカル共生社会へのヒント』など。世界社会学会医療部会会長。アジア太平洋社会学会会長。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
日本への影響も必須、グローバル時代の高等教育のゆくえ
新型コロナの感染拡大防止のため、多くの国や地域において外出の自粛や禁止が実施された。学校も例外ではない。ユネスコによると、4月の時点で学校閉鎖を全土で行っている国・地域は180以上で、全世界の児童・生徒・学生の91.3%以上に当たる15億7600万人が新型コロナによる休校措置のため学校に通えなくなった。
学校のない状態で学びをいかに保障するかという課題に、教職員も学習者も試行錯誤が続き、オンラインでの授業、家庭学習の推奨、学校以外の学びの奨励など様々な学習方法が展開されてきた。ただし、影響を被っているのは学び方だけではない。新型コロナによる解雇や雇い止めが大きな社会問題になっているが、米国を見ると解雇の波は幼稚園から大学までの学校にも及んでいるのである。
ここでは米国を例に、高等教育に関してどのようなことが起こっているのかを概観してみる。その変化は日本に暮らす私たちには思いが及ばないほど急激で、しかも、簡単には後戻りできないように思われる。
米国オハイオ州のアクロン大学で、7月中旬に100人近い専任教員の解雇が発表され、これまでの最大規模の専任教員解雇数ということで、衝撃をもって受け止められた。新型コロナの感染が広がってからの大学教員の解雇はこれまでもあったが、多くは非常勤講師であり、専任教員の解雇は比較的小規模なものであった。例えば3月にはミズーリウエスタン州立大学で31人の非常勤講師の解雇が、5月にはオハイオ大学で教員53人の解雇が発表されている。6月にはテキサス大学で69人の、ミシガン大学で130人の講師が解雇された。
このような教員解雇と同時に、
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