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米国では大学教員が大量解雇、新型コロナが加速する大学再編

日本への影響も必須、グローバル時代の高等教育のゆくえ

細田満和子 星槎大学大学院教授

shutterstock.com

世界の9割以上の生徒が学校に通えなくなった

 新型コロナの感染拡大防止のため、多くの国や地域において外出の自粛や禁止が実施された。学校も例外ではない。ユネスコによると、4月の時点で学校閉鎖を全土で行っている国・地域は180以上で、全世界の児童・生徒・学生の91.3%以上に当たる15億7600万人が新型コロナによる休校措置のため学校に通えなくなった。

 学校のない状態で学びをいかに保障するかという課題に、教職員も学習者も試行錯誤が続き、オンラインでの授業、家庭学習の推奨、学校以外の学びの奨励など様々な学習方法が展開されてきた。ただし、影響を被っているのは学び方だけではない。新型コロナによる解雇や雇い止めが大きな社会問題になっているが、米国を見ると解雇の波は幼稚園から大学までの学校にも及んでいるのである。

 ここでは米国を例に、高等教育に関してどのようなことが起こっているのかを概観してみる。その変化は日本に暮らす私たちには思いが及ばないほど急激で、しかも、簡単には後戻りできないように思われる。

衝撃的な大学専任教員の大量解雇

アクロン大学のホームページ。2020年は創立150周年であることを示すロゴが入っている。
 米国オハイオ州のアクロン大学で、7月中旬に100人近い専任教員の解雇が発表され、これまでの最大規模の専任教員解雇数ということで、衝撃をもって受け止められた。新型コロナの感染が広がってからの大学教員の解雇はこれまでもあったが、多くは非常勤講師であり、専任教員の解雇は比較的小規模なものであった。例えば3月にはミズーリウエスタン州立大学で31人の非常勤講師の解雇が、5月にはオハイオ大学で教員53人の解雇が発表されている。6月にはテキサス大学で69人の、ミシガン大学で130人の講師が解雇された。

 このような教員解雇と同時に、

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