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「指定感染症」の呪縛から新型コロナを解放せよ

漫然とつづく「無症状者の入院・隔離」措置が、国民と医療現場を疲弊している

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、本年1月28日に「指定感染症(二類感染症相当)」に閣議決定された。我々全国の医療関係者にも、日本医師会を通してこのことは周知された

拡大入り口で来院者の体温をチェックする病院=2020年6月、北九州市門司区、藤脇正真撮影
 現在、「二類感染症」に指定されているのは、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)などだ。それぞれ致死率は9.6%、34.4%、50.0%以上に達するなど、いずれも毒性が高く、極めて厳重な措置が必須となる。一方、COVID-19の致死率は、感染が広がりだした当初より2~3%と推定され、ほかの二類感染症に比べて明らかに低い。現在でも国内の累計陽性者5万9643人に対して累計死亡者は1162人(1.9%)である(8月19日現在)。

 しかしながら、COVID-19の「二類相当指定」はその後も漫然と継続され、その結果、科学的根拠とは関係なく、半年以上に渡って「有症状者のみならず無症状者の入院・隔離」「医療現場での煩雑な患者(陽性者)対応」が義務付けられたままである。この指定の継続が、医療現場の切迫・疲弊の一因になっている。また、国民までもがこの政府の厳重な措置に過敏に反応して、感染者をまるで犯罪者のように扱う嘆かわしい社会風潮も見られるようになっている。

そもそも「一類相当」だった対策の実態

 実は政府が取っているこれらの措置は、「二類相当」どころか、それよりも厳しい「一類相当」に該当するものである。感染症法において「無症状病原体保有者に措置が適用」されるのは一類感染症のみであり、二類以下の感染症には本来、適用されないのである。ところが政府は、COVID-19について決定した当初の政令をすぐに変更し、「無症状陽性者でも入院勧告を行う」とした。すなわち1月の閣議決定は、実質的に最初から「一類感染症相当」だったことになる。

 以降、一類感染症であるエボラ出血熱(致死率50~90%)と同等の極めて厳しい措置が、致死率2%程度のCOVID-19に適用されて、国民と医療現場に過度の負担を強要しつづけているのだ。「無症状でも陽性であれば入院・隔離」という政策が、本来なら入院が必要な重症者のためのベッド数を圧迫し、その結果、医療現場が危機に晒されてきたことは言うまでもない。

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筆者

川口浩

川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。

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